20240123

 晴れて、暖かい一日になった。通りを歩いていると梅の木に花が咲き始めている。中世には、桜ではなくて梅の花が愛でられていたと聞いたことがある。年賀状などに迎春と書くことに以前は違和感を覚えたが、このくらい暖かい日が続くとそうした習慣も納得できる。これからの寒さを「寒の戻り」というのも得心が行く。
 エリック・クストリッツァ監督の映画『オン・ザ・ミルキ―・ロード』を観た。隣国との戦時中、国境近くの農村で乳牛のミルクを往復して運ぶ音楽家コスタと、そのミルク売りの家に戦争に赴く兄ジャガの嫁として連れてこられた花嫁の恋愛物語。ミルク売りの娘ミレナがコスタに想いを寄せていて、戦争が終わったら兄と自分とコスタのダブル結婚式を挙げると息巻く。しかし、コスタは連れてこられた花嫁に心を寄せていく。さらに、花嫁にはイギリスの将軍を偽証で牢獄に入れた過去があり、彼女は特殊部隊に追われる身であることが分かり、後半は二人の逃避行へとなる。クストリッツァの映画は『アンダーグラウンド』と『黒猫・白猫』と観ているが、アヒルや猫やロバや隼や蛇に豚といった動物たちがとても印象深く登場する。今作でも隼とロバと蛇、そして最後に羊の群れが重要な役割を担っている。戦争と愛と信心が通底したテーマになっていて、結婚式や祭りで奏でられる音楽も素晴らしい。

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