お願い(五首)

布団畳んだ上に座って読んでいる黒い表紙の推理小説

あす帰る君が寝ているこの部屋がもう水槽のようなかなしさ

仕掛け時計の小鳥のようにくるしんで「お願い」という言葉を使う

一人では生きられないという思い まわりの溶けた飴玉のよう

いつも同じ場所へと俺を連れ戻すマスターハンド孤独な力

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