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「ぽくぽく」と「こがね芋」のことー川越銘菓百年戦争ー

あなたはシナモンがふんだんにまぶされたさつま芋のおかし、川越銘菓を知っていますか?

不思議なことに、この菓子、販売元が一つではないのです。そっくりなものが二つの会社から販売されています。一つはくらづくり本舗の「ぽくぽく」、もう一つは亀屋の「こがね芋」。

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くらづくり本舗の「ぽくぽく」

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亀屋の「こがね芋」
なお川越は埼玉県南東部の郊外都市

大きな違いはその芋餡にあります。くらづくりの「ぽくぽく」は、甘さ控えめ、芋の味が前面に出ています。他方、亀屋の「こがね芋」は餡の味が強く出ています。

これらは、川越周辺の住人で知らない人はいない菓子なのです。川越の有名な土産ですし、名所の近くには必ず販売店があります。沿線の電鉄系のスーパーなどでも取り扱っています。

一方で、埼玉県民(正確に言えば埼玉南東部)以外には案外知られていません。近年はもちろんホームページやアマゾン等で通販でも買えます。しかし、お届け日数が最長15日となっているなど、どう考えても通販に力を入れているようには見えません(笑) 生菓子なので、7日と賞味期限が短いのです。賞味期限が7日なのに、到着に15日間かかるって、腐ったもの届けるってこと!?(怒!!)なんて思っちゃうじゃないですか。もちろん実際はもっと早く届くし、賞味期限もおそらく配送日数を考えて到着後7日のはずです。もしかしたら賞味期限が短いという事情から、川越周辺の人しか知らないのかもしれません。

さて、いよいよ本題です。

断言します。川越の人間には2種類の人間がいます。

「ぽくぽく」か「ぽくぽく」じゃないか

「こがね芋」か「こがね芋」じゃないか

突然ローランド風ですみません。

要するに、ぽくぽく派か、こがね芋派か、ってことです。

部外者から見ると、「きのこの山か、たけのこの里か」みたいなものかぁ、と思うかもしれません。

違うんです。全然違うんです。圧倒的に違うんです。

なぜか?

なぜかというと「ぽくぽく」と「こがね芋」は、超超超ソックリだからです。

きのこの山とたけのこの里は、見るからに違った商品ですよね?一方はチョコメイン、他方はビスケットにフォーカスしたお菓子じゃないですか。もしかしたら、チョコ好きならきのこの山、ビスケット好きならたけのこの里との傾向も出るかもしれません。

きのこの山とたけのこの里が姉妹商品だとしたら、「ぽくぽく」と「こがね芋」は一卵性双生児なのです。いわばよく言えば「マナカナ」こと三倉茉奈・佳奈姉妹。悪く言えばTheたっち。(たっちさんすみません。)そのくらい似ているのです。


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たっち

そして、一卵性双生児よりタチが悪いのは、どちらかが本家もしくは正統でどちらかが分家・亜流であることです。起源ははっきりしていません。両雄並び立たず、とはこのこと。

だから、我々はマナカナのマナかカナか、ザ・たっちのたくやか、かずやか、どちらかを選ばないといけないのです。「選ぶ」という行為がまさに、どちらが本家・正統であるかの投票行動となるのです。

我が家では母が「こがね芋派」で私が「ぽくぽく派」です。どちらも決して折れません。内心では「こっちの方が絶対美味い」と思いつつも平静な風を装っています。一度議論の口火をうっかり切ってしまうと、ベトナム戦争のように泥沼の長期戦になると互いに知っているからです。

先日、味の感想を今度訊かせてほしいと添えて「ぽくぽく」と「こがね芋」を神奈川の友人に贈りました。「ありがとう。どっちも美味しくて甲乙つけがたいね」と言われました。私は「そうじゃない!!!」と心の中で叫んでいました。

でも冷静になって考えてみれば、客観性のある彼の視点も忘れてはいけないのでしょうね。でも、「ぽくぽく」の方が美味いですけどね。(しつこい)

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