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NTTがドコモを完全子会社化

NTT持ち株会社がNTTドコモに対してTOB(株式公開買い付け)を行い、完全子会社化することを発表した。総務省も認める方針らしい。買い付け成立後は、NTTドコモは上場廃止となる。

時代は変わったものだ。

もともと国営企業だったNTT(旧電電公社)は、かつては圧倒的な市場支配力を持っていた。自由主義経済においては公正な競争条件の整備が不可欠だ。そのため「ドミナント規制」(支配的な事業者に対する非対称規制)という考え方により、移動体(ドコモ)、地域(NTT東日本/西日本)、長距離・国際(NTTコミュニケーションズ)という各社に分割し、独占的な支配力を抑制してきたのが、この30年の歩みだった。

今回、その流れを覆して、再統合化への一歩を踏み出すことになる。

NTTグループの稼ぎ頭であるドコモの営業利益が、ソフトバンクやKDDI(au)に対して3位に転落するなど、もはや支配的事業者ではないという判断のようだ。

また、情報通信分野における日本の技術開発力が国際的に大きく後れをとっていることが明らかになり、NTTを中心に国産技術の再興を図らねばならないという政府の思惑とタイミング的に一致したというところだろう。

しかし、昨日も書いたが、一方で武田新総務大臣は「(通信事業における)公正な競争環境を整備する」と述べている。

私はNTTグループは「腐っても鯛」、昔ほどではないにせよ、まだまだナショナル・フラッグとして強大な力を持っていると思っている。

NTTグループの再統合化が日本の情報通信産業における公正競争環境を後退させるものにならないか、注意が必要ではないだろうか。

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