「お前の代わりなんざいくらでもいるわ!」

「あなたの代わりはいない」

たった10文字である。
たった10文字で人の心を奪える、この言葉が憎い。

たしかに、いい言葉だ。
自分の価値が見出せないこの時代。
この言葉は最高のご褒美だ。
この言葉をもらうために生きていると言ってもいいかもしれない。

そう。
この一言は最高のご褒美なのだ。
しかし、その言葉は時に人を縛る呪いの言葉と化してしまうから、私は憎いのだ。

「お前の代わりはいない」
これを言い換えれば、「お前がいないと困る」ということだ。
この呪いに縛られてる人は少なくないのではないか。

「自分がいなくなったら職場が回らなくなる」
そう思ったら体調が悪くても仕事を休めない。
「自分がいなくなったら仲間が苦しむ」
そう思ったらブラック企業であっても退職をためらう。

人を縛り付ける呪いと言葉として非常に強力で、だからこそ、私はこの言葉が憎いのだ。

だから今回、私はこの言葉に縛られてしまった、あなたに言いたいのだ!!

なめんな!!!
お前の代わりなんざいくらでもいるわ!!
だから、安心して逃げろ!!と。

実は私も昔は代わりのいない存在でありたいと思っていた。だからこそ芸人を志した。
しかし、ある日を境にそれは不可能だと知ったのだ。

それは2011年8月23日のことである。
そう、大物司会者、島田紳介さんの芸能界引退会見の日だ。

ここから先は

1,971字

¥ 100

読んでいただいただけで十分なのですが、サポートもいただければ、大変嬉しいです!活動費として大切に使わせていただきます!!