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観劇感想「THE BOY FROM OZ」

▶2022年7月14日(木)inオリックス劇場


現在の自担であるAぇ! groupの末澤誠也さんにハマったタイミングで、末澤さんが坂本昌行さん主演のミュージカルに出演するという情報を聞き、ご縁があって観劇することができました!

これまでジャニーズとはほぼ無縁の人生を送ってきたので、正直なところ坂本さんのお芝居も歌も、しっかり見るのは初めて。
『学校へ行こう!』で育ったので、当時のV6が出ているバラエティや音楽番組などはゆるく見ていたものの、お恥ずかしながらライブDVDなどはしっかり見たことがないレベルです。
そんなゆるふわな感じでの観劇の備忘録です(一度ふせったーにあげたものを加筆修正しています)

※めちゃくちゃネタバレがあります。



坂本昌行というエンターテイナー

とにかく、歌が上手すぎる!お芝居が上手すぎる!、何よりも役を生きている!
板の上の坂本さんから、お芝居が、ミュージカルが好き!というのが伝わってくるのがめちゃくちゃに気持ちいい。

1幕も2幕も最初から最後まで出っぱなし、ずっとお芝居、歌って踊って……ってずっとやっていたけどほんとにすごい…喉も体力も集中力も続かないよこんなん…!!!
ピーター・アレンは、坂本さんの喜怒哀楽すべて余すことなく見れる役だな…と思いました。


ミュージカルという演出

ピーター自身がストーリーテラーとして自分の人生の語り、案内しながら時には客席と掛け合いをしてレスポンスを受け取って展開していく構成がすごく良かった!
普段、観劇はストプレがメインでミュージカルを見る機会ってあまりないんだけど(そのストプレも観劇経験が豊富なほうでもない)こうやって客席の反応込みで進んでいく演出はあまり経験がないので新鮮で楽しかった。

全体的に衣装がものすごく豪華で、主役たちだけじゃなくダンサーさんたちの衣装もギラッギラだった。あと種類がめちゃくちゃ多い。ストプレばかり見ているので、ミュージカルってこんなに衣装替えるんだっけ!?ってびっくりしちゃった。

あと生オケの規模がでかくて最高だった。センターを空けて上手と下手に分かれてたけど、人数めちゃくちゃ多かったのでほんとに素晴らしく、たまに行われるピーターとの掛け合いが生感あってとてもよかった。


愛のお話

ピーターとライザは夫婦としてはうまくいかなかったけど、本当にいい関係性。セックスレスだったけどそこに確かに愛はあった。
ピーターと、ピーターに関わるすべての人間との間に、あらゆる愛の形があって、それぞれが紛れもなく愛だった。ピーターは愛された人だったのだなあ…。


グレッグ・コンネルと末澤誠也

グレッグの観劇前の印象は「ちょっと子どもっぽくて小生意気な感じなのかな~?」だった。なんとなく末澤さん自身のちょっとヤンチャな部分に引っ張られていたと思う。
実際見てみると、いつもの末澤さんどこ行った!?ってくらい声が低くてびっくりした。男気あるツンデレって感じなのに、なんやかんやでピーターのお世話しててかわいかった。好きな人には甘いんだね……。

わたしは大阪での観劇だったので場数こなしてたのもあるのかな?末澤さんはちゃんとミュージカルの発声だったし、歌い方だった。ピーターとのデュエット曲で多分下ハモだったと思うんだけど、超びっくりした!下ハモ!?!?ってなった記憶。


ピーターとグレッグ

グレッグは1幕登場ナシ、2幕からの登場だったけど、ピーターとのやりとりすべてがとても濃く、2幕だけの登場なのにしっかり存在感があり、彼がいなくなったときの喪失感がすごかった。

ピーターはグレッグが大好きでしょうがないって感じで愛を囁きまくっていたけど、素っ気なくてツレないグレッグ…というふたりの温度差がよかった。グレッグは前述の通りツンデレなのでピーターのこと好きだけどツンツンして言葉にしないのもかわいい。
ピーターに「かわいいな」 って鼻をつん!てされるところのグレッグ機嫌悪くて最高に良くて愛おしい。

公演前から話題になってたピーターとグレッグのキスシーンは、とにかく色っぽくて艶っぽくて。
お互いに触れる手の力強さと優しさと美しさ……!!!!

素っ気なくてもツレなくても、しっかりピーターのお世話をしてるグレッグと、そんなグレッグを恋人としてもビジネスパートナーとしても信頼してるピーターの関係性がとにかくめちゃくちゃよくて最高。
ピーターがどんどん有名になって、世間から注目されていく様子を見ているグレッグが誇らしげで本当にかわいい。
ピーターが脱いだ衣装を丁寧に整えてハンガーに掛ける。なんてことないワンシーンや、マリオン(ピーターのママ)が公演後のピーターを訪ねてくるところでのマリオンとグレッグの仲良さそうな感じから、ピーターとグレッグが築いてきた関係性が見えてとてもよかった。


グレッグの生きざま

グレッグのエイズ発症後、やつれたグレッグを演じる末澤さんがすごい。
マジで体調悪い????てくらいめちゃくちゃしんどそうだったし、さっきまでぴかぴかして生きた顔してたグレッグの顔から生気が消えてた。末澤誠也とんでもない。

ピーターのこと好きなのに一緒にいられないと突き放そうとするグレッグも、それを受け入れられないピーターもずっと辛い。
後ろから抱きしめるピーターの優しさと、その優しさも辛いグレッグ。
辛くて縋りたいだろうに、これから何もできなくなっていく自分にピーターの人生を巻き込みたくないから、弱っていても甘えられないし可愛げのあることも言わない。

この頃は「エイズ=死」で、自分がもう死ぬこともわかっていても人間はきっと簡単に死を受け入れることなんて出来ない。
だからと言って死ぬ運命に逆らうことも出来ず、ただただピーターの腕の中で恐怖に向き合うことしかできない。ピーターの歌声を聞いて泣くグレッグ……辛い……しかし美しい……。

こんなにふたりは愛し合ってるのにどうして!!!????めちゃくちゃしんどくてわたしが座席にめり込んだ。
離れがたくてしっかり抱き合ったふたりがもう宗教画。ルーヴル美術館に飾ってほしい。
この辺からダバダバ泣いてしまって鼻水の処理が大変だった。

ピーターに「服もこの家に置けばいい。一緒に暮らそう」と言われたグレッグが「俺が靴下の片割れをこの家に持ち込む時、それは一生の約束って意味になる」って返したの(セリフはニュアンス)、グレッグなりのプロポーズだったんだなあ……と気づいた。
この後のグレッグが病気について話すシーンでは、部屋で裸足で過ごすグレッグがそこにいたのを見た時に、グレッグはほんとうにピーターのことを愛してたんだなあ…と彼の不器用さに目頭が熱くなった。
ピーターを好きになってしまったのを「落とし穴に落ちてしまった」って言ってたのもめちゃくちゃ好き。


I Honestly Love You

死後に概念として現れた時にグレッグが歌うのが「I Honestly Love You」
ずるすぎる。

男らしいツンデレのグレッグが生きてる間はピーターに愛を囁くことはなく(少なくとも我々が見てる範囲での話だけど)、ここで初めて「愛してるよ」って愛を囁く。
その声が、生前低い声で喋ってたグレッグからは想像できんほどに優しくてやわらかくて、それだけでもうめちゃくちゃ泣いた。
ふたりはこんなに愛し合ってるのにどうして???????????どうして別離は訪れるの?????????


最愛の人を亡くしたピーター

グレッグがピーターに「お前は自分のことしか考えてない」というようなことを言ったけど、ピーターが語るグレッグの最期の話では、ピーターは死に水を取ったし、最期までずっと一緒にいた。自分のことしか考えてない人はそんなことをしない…愛があったんだよそこには……!!!!

もうここの坂本さんがほんとにすごかった。グレッグの最期を語り終えたあと、しばらくセリフの無い間がある。
ピーターは後ろを向いて目頭を押さえて涙をこらえて、話し出そうとするけど声にならなくて話すのをやめる…というようなことを2、3度繰り返していた。
これがお芝居なのか、坂本さんが感極まってしまってそうなってしまったのか全然わからなくて、そこにいるのは紛れもないグレッグの死を悲しむピーターの姿だった。

その後、そのままグレッグを亡くしたあとやつれてしまったピーターをライザが訪問するシーンへ。
一旦袖に引っ込んで衣装やメイクを変えるようなこともしてないのに「20kg痩せました????????」ってくらい別人のピーターがいてびっくりした。この切り替えどうやってやってるの…?

ピーターを心配するライザがほんとうにいい女すぎる。
紫吹さんマジで美しすぎるし、素晴らしすぎるプロポーションで脚は5メートルありました(ありません)
坂本さんも脚の長さが5メートルあるので(ありません)スタイルおばけ夫婦でした。大変美しい。

ピーターとライザが今後の話をする中で、こんなやりとりがある。

ライザ「こんな時、グレッグならなんて言ったかな」
ピーター「アロハシャツ着なよって言っただろうな」

もうこの世にいない、今ここにいるであろうグレッグを描くことが出来るのは、ピーターが自身の人生の中でグレッグという人間を愛して理解していた証だし、これからもピーターの中で生き続けるから。
それが描かれたシーンでとても好きです。


フィナーレ

ピーターもこの後、病で亡くなってしまうのだけど、ラストにソロで歌うバラードがまじで圧巻だった。歌が上手すぎてやばい(語彙がない)
圧巻のバラードで〆……と思いきや

全キャスト大集合~~~~~!!!

超ド派手で軽快なお祭り騒ぎのゴキゲンナンバーでフィナーレ!
もうマジでお祭り。さっきまであんなに湿っぽかったのに!?
みんなめっちゃ笑顔で陽気にマラカス振ったりして、真ん中で輝いてるピーターにひとりひとり寄って行ってアイコンタクトしたり一緒に踊ったりして、こんなに明るいのにすごい泣けてくる。めちゃくちゃいいフィナーレだった。

1公演しか見れなかったの本当に残念なんだけど、1公演でも見れてよかった。
OZ、とてもいい作品でした。円盤がほしい…もしくは同じキャストで再演してほしい…たのむ……

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