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【秋田の大学生が発信!vol.5】Labo&Cafe YAMAMOTO🍶日本酒も楽しめるカフェを取材しました!

今回で、「秋田の大学生が発信!」の令和5年度の取材と記事は最終回となります。
最後の取材先は「山本酒造店」です!

酒蔵正面入り口に掲げられている「山本」の看板

取材したゼミ生の一人がお酒に興味があったので、実際に酒蔵の経営や酒造りをどのように行っているのかを知りたいと思って取材を申し込みました。
取材当日、特別に日本酒の製造過程を見学させていただいた後、代表の山本友文さんから様々なお話を伺いました。

6代目山本友文さん

〇特別に酒蔵を見学!

山本酒造店は、秋田県八峰町にあり、1901(明治34)年創業の日本酒を造る酒蔵です。

この酒蔵では、白神山地の天然の湧き水を自社水道で引っ張ってきて酒造りを行っているのが特徴です。
ここで造られる日本酒は香りや酸が控えめで、食事とのバランスを重視したお酒となっています。

また、この酒蔵での酒造りの最大の特徴は、伝統的な手作業を残しつつも、従業員の負担の軽減や品質の向上に繋がる機械化にあり、麹(アルコールをつくるときに、酵母のエサとなるもの)を造る部屋や、酵母と蒸米を混ぜた発酵タンクは、温度や湿度が全て機械で制御されています
常に高い品質を維持するための取り組みで、これほど機械化が進んだ酒蔵は珍しいとのことでした。

こうして作られた山本酒造店の酒の代表商品である「山本」シリーズは、使用する米や酵母の組み合わせを変えて、毎月新商品が造られています。
シリーズ化のきっかけとなったのは、店を訪れたお客さんからよく「新しく入ったお酒はあるか」と尋ねられ、そのニーズに応えたいと考えたことからでした。

山本酒造店で働いている社員は21人、男女比率は50:50で社員の半数は20代と、若い人たちが酒造りを担っているそうです。
新しいことへの挑戦と、それを支える若い人たちという、イキイキとした働く環境だと思いました

〇実は経営困難だった山本酒造店、乗り越えた背景に迫る!

現在の代表である山本友文さんで6代目となる山本酒造店。

山本さんは地元の能代高校を卒業後、アメリカの大学へ進学、5年半過ごしました。
大学での専攻は機械工学でしたが、大学卒業後帰国してからの7年間は、アルバイトをしていたときの縁で、東京の音楽事務所に所属し、アーティストのマネージメントやコンサート製作を担当していたそうです。

当時の山本酒造店は山本さんの従兄の方が専務として経営を担っていましたが急逝されたため、後を継がないかと山本さんにお声が掛かりました。
これを了承した山本さんが、33歳で秋田へ帰って来たとき、酒蔵の経営状況は債務超過で銀行から資金が下りない、つまり、いつ倒産してもおかしくない状態になっていました。

最初の3年ほどは、職場内での意見が合わず、経営も上手く回らないなど、山本さん自身も酒造りに関われない状況でした。
その後、蔵の今後について様々な議論をしていく中で、「自分がせっかく秋田に帰って来たのだから、酒造りを勉強しながら一からやりましょう」と山本さん自身が体制を整え、今から15年前に、6代目の山本さんを中心とした酒造りが始まりました。

その後、様々な場所へ見学に行ったり、自分で勉強をしたりと試行錯誤を重ねた結果、全国にも「山本の酒を応援しよう」という酒屋が増えていったそうです。
その努力によって、倒産寸前の時と比べ、生産量が4倍、売上が5倍に増え、5年前には生産可能な上限に達したとのことです。
山本酒造店の経営も、またその代表的な商品である「山本」という日本酒自体も、どうしたら良くしていけるのか、立て直せるのかを、山本さん自身が日々考え行動していったからこその結果であり、その努力と経営者としての責任は計り知れないものだと感じました。

〇新たな取組、日本酒ファンのためのカフェ

「LABO and CAFE YAMAMOTO」のロゴ
カフェの入り口に続いていく廊下

酒蔵は繊細な工程を含むため、外部からの菌が入らないように徹底した衛生管理がされています。
そのため、酒蔵自体の見学は一般公開されていませんが、山本さんは「山本のお酒を良いと思ってくれた方や、日本酒ファンへのサービスが何かできないだろうか」と考えました。

ピエール・エルメ・パリとのコラボで作られたマカロンが並ぶショーケース

そこで、日本酒ファンが楽しめるカフェをつくろうと決意して作ったのが、「LABO and CAFE YAMAMOTO」です。

訪れた方を喜ばせたいと、内装、庭、フードの食材、全てにこだわっているとのことで、自然豊かな地域の中に、洗練された佇まいのカフェがあることに驚きました。
店内は居心地がとても良く、また、入ってすぐのところに、酒蔵で働いている方々が実際に着用しているユニフォームや「山本」のボトルの形のぬいぐるみなど、店に関するグッズがたくさんあり、ファンが思わず笑顔になること間違いなしだと思いました。

実際に購入できる山本酒造店のユニフォーム。奥には「山本」のボトルのぬいぐるみも。


なお、メニューにある、世界的にも有名なピエール・エルメ・パリとコラボしたマカロン「シラカミ」は、この店でしか食べられない、酒かす使用のものです。
外はサクッ、中はフワッとした食感で、程よい甘さの中にお酒の風味が感じられる繊細な味わいでした。

マカロン「シラカミ」

〇最後に

「やりたいことがあったら、お金を貯めたり、夢に必要なスキルを身につけたりするようにしていくのが良い。新しいことを始めるのは大変だから」と山本さんがお話されていました。山本酒造店の経営責任者だからこその言葉だと思います。
新しいことのために、色んな経験を積んでいくことを大切にしてほしい、山本さんから私たちへのメッセージでした。

山本酒造店の酒造りでは、お客さんのニーズに応えること、そして高い品質のお酒を提供することを大切にしているからこそ、機械化や毎月の新商品の生産に取り組んでいるのだと学びました。
また、社員さんの多くが若い人たちだったので、これが飲み手にも影響して、若い人も、より日本酒に親しんでいくようになったらいいなと思います。

○5回の取材・発信をしての感想・学び


【秋田の大学生が発信!】の令和5年度の取材・発信はこれが最後です。
実際に行った地域連携ゼミのメンバーから、取り組んでみた感想や感じたことなどを最後に聞きました。

「秋田県出身の私ですが、取材をさせていただいた先で何度も聞いた『秋田の人こそ秋田の魅力を実感できない』という言葉どおり、魅力を知りきれていなかったなと思います。
この活動が少しでも秋田の魅力発見に繋がれば嬉しく思います!」(M.S)

「ゼミの活動を通して、取材前のアポイントの取り方や、取材時の臨機応変な対応など、機会がなければ出来ないことを実際に実践することが出来て、とてもいい経験になりました。
また、取材をしていく中で、改めて秋田の魅力に気づいたり、再発見することが出来ました」(H.T)

「5回の取材を通して、人と人とのつながりを生むイベントや施設など、自分の知らない秋田の魅力を発見することができました。
それと同時にこの魅力を県内外関係なく、もっと多くの人に発信していく必要があると感じました」(F.T)

「今回の活動で、知らない場所やものを知り、多くの方々にお会いしました。
インタビューをして、それを記事にまとめる機会が多くありましたが、そこで見出したのは挑戦という言葉です。夢や考えを行動に移し、諦めず進んでいく姿勢に、気づきと学びをたくさん得られました」(N.F)

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