国別の「暗黙の了解」サインが気になる

随分昔のことだ。モスバーガーだったかドトールだったかベローチェだったか何だかは忘れてしまったが、とにかくそういうセルフサービスの店で本を読みふけっていたら閉店間際になってしまったことがあった。

閉店間際であることに気付いたのは、店内の音楽が「蛍の光」に変わったからだった。

周囲を見渡せば、他の客ももそもそと荷物を取りまとめ始め、店を出る準備を始めている。

おっと私も帰り支度をせねば……と思った矢先に、全く何の反応も見せず、相変わらず堂々と何にも動じず会話し続けているグループがあることに気づく。

「メン太いな……」と思ってよくよく観察してみると、外国人(中国系と推察される人たちで、ぱっと見日本人に見えた)だった。

それに気付いた時、ああそうか、考えてみれば「蛍の光が流れたら、もう終わりが近づいているって事なんだよ」と条件反射のように反応するのって、日本特有の文化(みたいなもの?)だなあと。
他の国の人にしてみれば「知ったことか」だろう。そりゃあそんなこと知る由もない海外観光客の方に伝わるわけがない。

せいぜい「あれ、BGMの曲調変わったな」とか「何で急にアイルランド民謡なのか」とかそれぐらいの反応が関の山だろう。

そうなってくると気になるのが、他国の「正面切っては言わないけれど、それとなく気付かせる」サインって、どんなものがあるんだろうかということだ。もしかしたら、そんな回りくどい「察せよ」というコミュニケーションは日本ぐらいのもので、他国には無いのかもしれないが、それさえも判然としない。

例えば日本なら、閉店間際の蛍の光以外に、のれんが掛かっていなかったら店は閉まっているとか、御札が貼ってあったら開けてはいけませんとか、日本庭園の石畳の途中に行く手を阻むように小石が置いてあったらそこでストップ&そこから景色を眺めよとか、そういった類のサイン。知らないと気づけ無い指示。
暗黙の了解的な、生まれたときからその文化に染まっていないと気付けないようなもの。なんつーか、コミュニティナレッジとでも言えば良いのかもしれない。

そんなこんなで、蛍の光を耳にするたびに「海外のこれに準ずるサインってどんな物があるのかなあ」と思いながら、知識の増えない私は相変わらず解のない生活を続けている。

もし「○○国にはこういうものがあるよ」「そんなのは日本だけだよ」みたいなことをご存知な方がいれば是非教えていただきたいなと思う次第だ。


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