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支援に生かされない検査は意味が薄い

この記事は1,575文字あります。個人差はありますが、3分〜4分でお読みいただけます。

今日はnoteの連続更新123日目です。noteのほかに、Voicy(音声配信)もしておりますので、ぜひ併せてご活用ください!

今回のテーマは「心理・発達検査」です。
それではどうぞお付き合いください。


検査は実施すればいいわけじゃない

ぼくは心理士という立場なので、心理・発達検査は専門領域の一つです。

「数字のため」「とりあえずやっておこう」みたいな使い方をされることもあるのですが、厳密にはそれはあんまり意味がないなと思うこともあります(とはいえ、療育手帳の交付には現行の制度では知能検査が必須で、それは数値を出すためだけに実施されたりしますが)。

検査は実施すればいいわけではなくて、その方々のこれからの暮らしに少しでも役立てるためです。

誰しも苦手な領域もあれば、得意な領域もあります。

検査はその方の全てを表すわけではありませんが、検査結果から推測できる良さと苦手は、進路選択、勉強、人生などの一部にお役立て頂けるかもしれませんし、そのための検査でもあります。つまり、検査の最も大事な目的は「これからの支援方針」を探るためということになります。

支援に生かされない検査は意味が薄い

検査をたくさん実施すると「これだけアセスメントしているから」と自己満足になりやすい場合があります。でも、どんな検査を実施したとしても、それが生活に活きなければ、そこまで実施する必要性は乏しいのかもしれません。

検査の負担は決して小さくない

検査って、実施している方は「あとどのくらいで終わりそう」と目処が立っていますが、受けている側はそうしたことは全く分かりません。むしろ、「いったい、どんな問題が、あとどれくらい続くんだろう…」と大変なものです。

その負担を強いているのであれば、それを支援に活かすことがぼくらには求められます。

数値に表れていない特徴の方がずっと大事

例えば、目の前に教材が用意された際にすぐに触ろうとする方がいます。ただ、そうした行動は数値には特に影響はありません。

でも、そうした行動が多い場合には、
・衝動性があるんだろうか?
・それとも、その場で期待されている行動の理解が曖昧なんだろうか?(社会性の問題)
・あるいはどちらもだろうか?

こんなことを考えます。
なぜなら、それぞれの原因によってプランが全然違うからです。

どういうこと?

例えば。

  • 衝動性→目の前に刺激が入ると集中しにくくなるから、目に入る刺激を整理する。勉強でもひらけた空間よりも狭い方が集中しやすいかもしれない。

  • 社会性→その場で期待されているルールを伝える。

  • どちらの特徴もある→どっちも必要になる。

このように一つの行動だけでも、実は色々な原因があります。
だからこそ、情報をどう読み取るかが大事であり、情報が支援を変えるんじゃないかと思います。

でも、繰り返しですが、こうした行動上の特徴は検査結果には反映されないことがあります。

他にも見るポイントはたくさんある

だからこそ、数値以外の情報をどう把握し、整理するかが求められます。

一つの課題に時間がかかる場合にも色々な理由があります。
・不器用なのか?
・段取りが苦手なのか?
・正確性を重視しているのか?

指示と違う行動をしている時もそうです。
・そもそも指示を十分に理解できていないのか?
・聞き漏らしがあるのか?
・わからないと言えなくて、わからないまま応じているのか?

こんなことを検査を実施している側は考えたりしています。

検査結果を聞いてみる際には、数値以外の特徴や生活上ではどんな工夫が考えられるのかなども質問してみてはいかがでしょうか?

補足はVoicyの配信をお聴き頂ければと思いますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!

佐々木康栄

災害時に役立つさまざまな情報

被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ(国立障害者リハビリテーションセンター)


防災・支援ハンドブック(日本自閉症協会)


災害時、発達障害の子どもの支援についての医療関係者へのお願い(内山登紀夫先生)


災害時の発達障害児・者支援エッセンス


#障害者を消さない(ヘラルボニー)


寄付型セミナー(TEACCHプログラム研究会東北支部)

代表を務めているTEACCHプログラム研究会東北支部で、「寄付型セミナー」を立ち上げています。ぼくの衝動的な行動であることは自覚しています。それでも、今ぼくらにできることを考え、過去に配信したオンラインセミナーを再度配信させていただき、その売上(配信や販売に関わる手数料を差し引いた全額)を能登半島地震の支援・復興に向けた寄付することに決めました。宜しければ応援してもらえると嬉しいです。


#能登の障害者に届け

能登の障害者の方々に直接支援が届くように、一般社団法人障害攻略課さん
、NPO法人石川バリアフリーツアーセンターさん、一般社団法人Smart Supply Visionさんが「#能登の障害者に届け」というプロジェクトを立ち上げてくださっています。

この短期間でこれだけの状況を整えることは、どれだけ大変だったのだろうかと思います(きっとかなり睡眠時間や休みの時間を削って急ピッチで取り組んでくださったのだと思います)。本当に感謝です。    

一緒に応援しませんか?


その他お知らせ

オンラインサロン「みんなで考える発達障害支援」


クラウドファンディング

▼9月に大阪にて講演会をさせて頂いた「一般社団法人泉大津・発達支援勉強会Lien」さんが、「大阪府泉大津市、及び、泉州地域である近隣市町村一帯が、発達障がいや多様な子どもたちにとってより過ごしやすい地域に」を目指して、クラウドファンディングをされています。特に、4月2日の世界自閉症啓発デーでは、世界中がブルーライトアップされます。これは色々な人に目を向けてもらうための活動でもある一方で、それだけ予算がかかります。

そのため、どの地域でもできるわけではありません。今回、泉大津市内のブルーライトアップをしたい!という想いを叶えるためのクラウドファンディングです。目標金額は220万円です。ちなみに、これは行政と一緒に取り組んでいるものなので、「ふるさと納税」として寄付ができます。

ぼくも応援メッセージを出させて頂いています。どうか皆さんも応援していただけないでしょうか。

皆さんの応援が力になり、その力が地域を進める行動になり、その行動が当事者やご家族の未来になります。

一緒に地域の未来を変えるお手伝いをしてくれませんか?


セミナー情報

▼TEACCHプログラム研究会 第16回実践研究大会 in 東北・東京・熊本・鹿児島 「共に学び 成長する 熱い冬」

ぼくは仙台会場にいって、一丁前にコメンテーターというのをさせて頂きます!翌日にはTEACCHプログラム研究会東北支部主催でイベント「自閉症支援の未来会議 in 仙台」も開催しますので、2月10日(土)、11日(日)はご予定の確保をお願いします!


▼会員限定動画▼

これまで、会員の皆さんには限定のコラムや動画を配信してきました。現在下記のような動画を配信中です。閲覧にはパスコードが必要です。何度かメールでご案内しておりますが、もし会員の方で「パスコードがわからない!」という方はteacch.tohoku@gmail.comまでご連絡ください。

▼会員限定コンテンツ▼

現在、会員限定の質問フォームを設けています。匿名にしようかとも思ったのですが、会員の方からのご質問であることを確認するためにお名前のご記入をお願いしたいと思います。ご質問については、全てにお返事できるわけではなく、会員の皆さん全体にとって有益だろうと思うものを中心に取り上げて、限定コラムなどで書いていきたいと思います。

▼その他▼

ここに記載した以外にも、東北支部ではさまざまな取り組みを今後もしていきます。会員の皆さんには、「今こんなことを考えています」というのもお届けしますのでお楽しみに。公式LINEもあり、会員以外の方もぜひご登録ください!定期的に情報発信していく予定ですので、「TEACCHって何だろう?」「興味はあるんだけれども、どんな活動をしているんだろう?」という方はぜひご登録ください!


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