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KOELで実際に働いて気づいたことを新卒デザイナーに聞いてみました

KOELは昨年2023年4月に若杉知哉さん・増渕健太さんの新卒デザイナーお二人を仲間としてお迎えしていました。今回はそのお二人に1年間働いてみて感じたことを伺い、KOELでデザイナーとしてのキャリアをスタートすることの面白さをお伝えしたいと思います。


デザインに興味をもったきっかけ

——お二人は、様々な仕事がある中で「デザイン」をご自身の仕事として選ばれたかと思います。興味をもったきっかけや、選んだ背景などを伺えますか?

若杉:
正直、いつの間にかデザインが好きになって、気づいたらデザイナーになっていた感覚なんです。
とはいえ大きくは2つかなと思っていて、1つ目は「デザインの持つ合理性」に魅力を感じたこと。学生の頃の授業で、新規事業立案をしたんです。そこで ”アイデア” を起点に考えてサービス化する試みがあまりうまくいかなくて悩んでいました。そんなときに偶然「UXデザイン」や「デザイン思考」の考え方を知って、取り入れてみたら上手くいった経験があって、そこから表層だけではない戦略のデザインに興味を持ち始めたんですよね。

2つ目は小さい頃から自ら手を動かしてそれを見てもらうのが好きだったということがあるように思います。小学生の頃はよく絵を描いたりしていて、それを人に見せた時に、良い反応がもらえたりとか、友達にこれ描いて、みたいなことを言われたりとか、「自分の作ったものに対する相手の反応とかリアクションが嬉しかった」みたいなところが、原体験としてあるのかなと思います。

増渕:
僕の場合は、手先があんまり器用じゃないことの裏返しかもしれないですが、パソコンで何かを作るっていうのが昔から好きで。小学生の頃から、イラストレーターとかフォトショップとか、やっぱり「作ること全般」にずっと興味があって。その後もプログラミングとか、メディアアートとか、音楽も作ってみたり、いろいろやっていました。

高校生になっても文化祭でグラフィックを作ったり、いろいろしてたんですけど。うちの高校、建物の構造がヘンテコだったので、文化祭に来てくださる2万人もの人たちを迷わせないようなサインシステム(標識)を作ったんです。もちろん自分でも作るんですけど、下級生とかにも働いてもらって、ガーッと作って展開しました。その時に、「今まで作ってたものの中で一番人の役に立っているな」という感触がすごくあって。そこで結構機能的な側面を持つものを作ること、デザインみたいなところに興味が出たというか、大きな体験だったと思います。

ちょうど同じ頃に、高校の近くにあった東京大学 生産技術研究所の山中俊治先生のギャラリーをデザインに興味がある友達と一緒に行ったんです。そこで「あ、そうか、工業デザインとか、美大じゃないアプローチでもデザインってできるんだ」って気づいて。私はどちらかといえば、「絵を描く」ようなことよりはテクノロジーのほうが得意なので、そこからデザインの世界に行ったら面白いんじゃないかなと思いました。それをきっかけに大学で山中先生のご出身でもある機械工学を専攻したり、大学院でも山中先生と近しい分野に取り組んでいる「DLX Design Lab」というデザインの研究室で修士を取得し、デザイナーを志しました。

KOELをえらんだ理由

——新卒で最初に働く場として、また、デザインを実践する場として、NTTコミュニケーションズのKOEL Design Studioを入社先に選んだ理由を教えてください。

若杉:
一言で言うと、KOELのカルチャーに魅力を感じたからです。
2022年の2月にインターン生として、KOELで約2週間働かせていただいて、そのときに一緒に働いてた人たちがお互いを尊重しながら働かれている様子や、本気でいいものを作ろうとしているところに、とても魅力を感じました。

インターン生の自分の意見も、きちんと受け止めて活かして下さったり。年次や立場に関係なく、「誰が言うか」ではなく「何を言ったか」を重視していて、カルチャーとして根付いている印象があり、「こういうところで働きたいな」と思って入社を決めました。

増渕:
僕の中で大きくあった就活の軸としては、デザイナーとして「直接関わる人たちと利害が一致している環境」がいいなっていうのがすごく強くありました。いい物・いい事業を作るっていうところの利害は一致した環境で仕事がしたいという。そういう意味では事業会社が楽しそうだなと思っていました。

あとは立ち上げ期の組織っていうのが面白いなと思っていて。まだ整っていない部分があるかもしれないけれども、 だからこそ自分ができることがあるかもしれないとか、そういう点からも興味が湧きました。

それから田中友美子さんをはじめ、 経験と実績があるデザイナーの方々と近くで働けるのも面白そうだなと。事業会社のデザイン組織としてはまだ小さいかもしれませんが、逆にその部分に面白さを感じました。

——距離感が適度だったり、 立ち上げ期のデザイン組織で働けるっていうのは確かにレアなことかもしれないですよね。

デザインの価値に納得してもらうことの難しさ

——KOELにきて1年経ってみてどうですか?

若杉:
与えられた範囲の中で、自分がどれだけアウトプットを返せるか?みたいなところを、 とりあえずは自分の能力の見極めも含めて、1年間ひたすらがむしゃらにやってきました。まずは走り切ることができたっていう(笑)。
とりあえずやり切れたのは良かったなと胸を撫で下ろしています。

KOELは1年間の中で3ヶ月という短いスパンで複数プロジェクトが走っていくので、前回のプロジェクトで得た学びや 少し自分に足りてないと気づいた部分を、 また次のプロジェクトで巻き返せる、 学びをすぐに生かせる場所があるところがすごい良いことだなと思っています。

実際にプロジェクトを進めていく上で、支援先の人との自分が説明するときに思ったようには伝わっていなかったりとか、 認識齟齬に気づいたときがあって。そのときは「もう一度認識のすり合わせをさせてください」とお伝えして、メンバーの皆さんの力を借りながら丁寧に認識を合わせることで乗り越えられました。

大学での学びと業務を比べてみると、スピード感が違うなっていうのは思いました。一つのことをやるためにも時間制限がある中で、 いろんなことを検討して「なんでこれを選んだか」を 説明しなければいけないっていうのが大きな違いだなと。
学生のときは自分が思ったものを出して、 それが良ければ別に誰にもフィードバックもらうことなく通るところもありました。仕事では自分の作ったアウトプットが誰かに使われるので、 本当に質の高いものを生み出さないといけないですよね。 そこでいろんな検討をして、限られた時間の中で納得いただけるように説明する難しさは感じていました。

増渕:
ビジネスですから、やっぱりどう事業に貢献していくのかについてしっかり考えなきゃいけないのは大きな変化ですよね。
僕は特にリサーチ色の強いプロジェクトに参加することが多かったので、 デザインやリサーチを仕事としてやっていくマインドセットや心構え、 それを通じて「何を実現したいか」を考えることが、この一年で得られたものだと思っています。

あと、若杉くんと同じような話になっちゃうんですけど、 やっぱり「価値を伝える」ことですかね。 これまで大学院や大学での研究でやっていたのは、 報告として落とし込むまででした。仕事としてデザインをやっていく上では、アウトプットをどのような過程で、 どういうふうにできたのかを理解して納得いただけるように伝えるからこそ、 その前のプロセスにもちゃんと価値を認めてもらえるみたいなところがあって。ちょっとずつ出来るようになってきたんじゃないかと思っています。

この1年仕事をしてて特に面白かったのは、実フィールドでのリサーチができたことです。実際にフィールドリサーチとか、 そのフィールドでやっている実証実験のプロジェクトに2つ参加していたんですけど、もう本当に一般の人に体験してもらってインタビューしてみたいなところっていうのはなかなかも絶対に、 大学院とかだとなかなかできないと思います。そういったお金の使い方だったり、時間の使い方だったりっていうのができるっていうのは 面白かったです。

これだけフィールドに出てる新卒デザイナーってあんまり周りにいないので、KOELでできていてすごくいいなと感じます。

壁を乗り越えて見えてきたもの

——1年働いてみて、正直大変だったことはありましたか?

若杉:
複数のプロジェクトが重なってしまうタイミングが たまたま1〜2週間あったときを今思い返すとしんどかったところはあります。

ただ、仕事量自体がしんどいというよりは、自分の作業の内容の質をもうちょっと上げたいのに、それに費やせる時間がどうしても捻出できない、それが心残りのままどんどん時間だけが過ぎていくのが辛く感じたんですよね。
そのときは同じプロジェクトに入っていたマネージャーの方が声をかけてくださって、ちゃんと業務量が調整できるように働きかけていただきました。誰かが気にかけて動いてくれる環境があるというのはとても心強かったです。困ったときは自分で声を上げられるようにしよう、というのは大きな学びになりました。

あと大変だなと思ったのは、プロジェクトのフェーズ2から入ったときですね。もちろんフェーズ1の内容やフェーズ2の目的は事前にしっかりとリーダーに提示いただくんですけど、 目線合わせや自分の貢献ポイントを探るのに時間がかかることが難しく感じました。今後は結構フェーズ1の内容をより意識的に吸収していかないといけないことを学べました。

増渕:
僕が最初にぶつかったのはデザインに触れることが少ない方とのコミュニケーション齟齬ですね。「機会領域」といったワードを使ったときに支援先の方が「?」って反応があったり。そのときは言語の共通理解を構築することから始めました。
逆に大学院が英語がベースの環境だったこともあって、 「この言葉、日本語でなんて言えばいいんだろう?」となることもありました。

KOELの場合は新卒であってもデザイナーというスペシャリストとして入社する形になるので、自分より優れたスペシャリストである同僚に囲まれている中で、 働き始めてすぐに「自分がどうスペシャリストであるか」を示さなきゃ、というのが結構大変でした。大変でしたが、いい経験だったなと思います。

若杉:
新卒であってもデザイナー採用なので、ある程度メンバーに対して自分がどう貢献出来るのかを示しながらプロジェクトを進めることが求められますよね。

増渕:
そうですね。例えば、すでに10年以上経験がある支援先の方とプロジェクトをやりながら、自分自身もプロフェッショナルとして関わる状況があったりします。そんななかでプロジェクトの前提知識を皆さんほど深く持っているわけではないけれど、積極的に参加しなきゃいけないぞ、と。
でも自分の中でそういう状況を超えられたのは、みなさんそれぞれ別の分野のプロフェッショナルなのだから、当たり前のことかもしれませんが「相手にリスペクトを持って、対等に話す」だけでいいんだと最近感じています。

2人のデザイナーのこれから

——お二人はデザイナーとして2年目を迎えましたが、今後デザインのプロフェッショナルとして目指す姿はありますか?

若杉:
抽象的ですけど、いずれはKOELを飛び出して会社全体の中でKOELがやっているようなことを、一つのチームとか組織の中で担えたらいいなって思っています。そのためにまずは「周りの人から信頼されるデザイナー」になりたいですね。
信頼されるためには、自分の行動やアウトプットについて論理的に説明できて、 自分の力によってアウトプットが生み出せる部分が大事だと思っています。また自分の考えや気づきを周りに共有して、周りのメンバーをより良い方向へ導いていくような、マネジメント力は確実に必要だなと感じています。

一方で、「デザインの楽しさ」を周りの方たちにも同じように思ってもらいたい、そうするために自分がデザインの楽しさとか魅力に感じている部分を忘れないように働いていきたいなと思っています。

増渕:
今自分が一番実現できたら意義がありそうだなって思っているのはアジャイルで開発するプロジェクトにデザイナーとして関わっていくということで、それを会社の中のデザイナーがどんどんできるようになったら面白いんだろうなと。あと「人間と物の関係を考えながら、未来を作る」のがデザイナーだと思っていて、そういうことがやっていきたいですね。
こういったことも考えつつも、自分の手を動かし続けて、プロフェッショナルなデザイナーとして信頼されるようになるのが、現時点で目指すところかなと考えています。

——最後にKOELを職場として検討されている方にメッセージがあればお願いします!

若杉:
社内でいろいろな方のお話を聞いていると、KOELに対する期待の大きさをひしひしと感じます。それはこれまでのKOELのみなさんが生み出してきたものが社内で認められていて、事業成長に繋がっていると認識されているからこそだと思っていて。

自分もその一員としてデザインに全力を注いで、本気でサービスをいいものにするために取り組めるっていうのは、デザイナーとしてはやりがいが大きくていい環境だなという風に感じています。正解が何かわからない状況の中でも、自分のやりたいことに全力で向かっていけるような人には合う環境なんじゃないかな。そういったところがKOELの魅力だと思いますね。

増渕:
KOELの好きなところは、組織としてピュアなところなんですよね。寛容というか、ピュアであることを良しとするような環境がすごく面白いなと思っていて。さまざまな支援を行っていく中でも、「会社全体としていいものを作れる状態にしたい」というピュアな気持ちに妥協しないで進むっていうところがあります。その気持ちをみんな持っていて、応援してくれる。
想像以上にピュアにいいものに向き合えるところが、個人的に驚いたことでもあったので、実際に働いていて、KOELの素敵だなと思うところです!


最後までお読みいただき、ありがとうございました。KOELでは引き続きデザイナーを募集しております。NTTコミュニケーションズ公式サイト採用情報およびKOEL公式サイトをご覧ください。

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