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記事一覧

【校閲ダヨリ】 vol.72 絵文字のこと

みなさまおつかれさまです。 新年度が始まり早1週間が経ちました。学校も、そろそろ入学式というところが多いのではないでしょうか。 個人的に、春は、言葉の持つ力をことのほか体感する(してしまう)季節ではないかなと感じています。 特に入学や就職、クラス替えや異動など、新たなステージに進む方にとっては、ワクワクや不安のもとが「言葉」ということが多いのではないでしょうか。 「また自己紹介するのか……」(私はこれでした)、「先輩にきついこと言われたら……」、「ビジネスメールのマナーが

【校閲ダヨリ】 vol.68 「〜たち」を「〜達」と書いてはいけないのか。

みなさまおつかれさまです。 早くもSNS疲れを催している伊藤です。(本当に早い) なんというか、「人それぞれの意思」が流れ込んでくる感覚で、MARVEL作品ヒーローたちが最初に経験する「苦しみ」にオーバーラップしているようです。 なるほど。 超えたら強くなれるのですね。(そんなに上手くいくか) 多様性に触れられるのはありがたいので、今後もマイペースでSNSと付き合っていこうと思います。 さて、Twitterは多くの「言葉の話」に出合える場として私にとってとても有益

【校閲ダヨリ】 vol.66 お買徳な話

みなさまおつかれさまです。 少しハードなテーマが続いたので、しばらくはゆったりとした回にしたいと思います。 今回は、まずみなさんに一枚の写真をご覧いただきたいです。 とあるスーパーで私が撮影したものです。 なんだ、ただの鯛好きか。 いや、まあ鯛は好きなんですが(迷った挙句買いませんでした)、見ていただきたいのはPOPの上部です。 「更にお買徳」とありますよね。 それがどうした? お買徳は、通常「お買得」や「お買い得」などと書かれますよね。 ああ、そういうことか

【校閲ダヨリ】 vol.2 PDFは万能ではありません

みなさまおつかれさまです。 今回は、仕事をするにあたって目にしない日はない(といっても過言ではない)、PDFが主役です。 PDFの利点を挙げればキリがないですが、主に次のような感じでしょうか。  ・データ量が比較的軽い  ・デバイス上で閲覧、保存・蓄積ができる  ・コメントを加えたり、手書きで赤字を入れられる  ・原則として編集が不可能(対外部向けメリット)  ・テキストのコピーができる こと出版業界において、最強のデータ形式なのではないかと思うほどです。 しかし、そん

【校閲ダヨリ】 vol.4 辞書の性格

みなさまおつかれさまです。 早いもので、4号目になりました。(普通こういう挨拶は5号や10号でするのかもしれませんが、私は4という数字が好きなのです。サンダーバードも4号がいちばん好きでした) さて、今回は、3号でYが配信した内容とリンクさせてみます。せっかく良いテーマなので、もう少し学びを深めてみましょう。 前回Yは『広辞苑 第7版』(岩波書店)を参照して、敷居が高いという言葉について論を展開しました。 広辞苑といえば、絶大なシェア率を誇る、辞書界の大御所ですよね。「

【校閲ダヨリ】 vol.5 “ ー ” オンビキ

みなさまお疲れさまです。 先日、ちょっとしたパーティーのお手伝いを頼まれてお邪魔してきました。そこで当日気になったことがありましたので今日はそのお話を。 ネットでの告知や会場に貼られたチラシには“パーティー”とあったのですが、入り口前の黒板には“パーティ”と書いてありました。頼まれたお手伝いは校閲じゃないんだし、気にするほどのことでもないし、そもそも忙しい当日にそんなことを……と思い黙っていたのですが、パーティーの主催の一人が気付き 「外の黒板、伸ばし棒消えてるから誰か書

【校閲ダヨリ】 vol.7 个(矢印ではありません)

みなさまおつかれさまです。 今回も、いったい正解はどこにあるんだ、という禅問答のようなお話です。 さて、下の文をいつもPCやスマホで打ったりする感覚で、頭の中で変換ボタンを押してみてください(実際に打ってみてももちろん良いです)。  ・きょうは、つきあって6かげつめのきねんびだね。 ……絶対にこのあとプリクラを撮りにいったりするんだろうなと思います。(最近のプリクラはスマホに撮影データを送れます。それをホーム画面に登録できるわけです) さて、変換はできましたか?  こ

【校閲ダヨリ】 vol.9 差別・不快語 (重要なテーマなので前回のつづきです)

みなさまおつかれさまです。 前回のお便りでYが「〜屋」という言葉がもつネガティブイメージのお話をしました。今回は、それを踏まえた上で、差別・不快語に対するお話をしたいと思います。 差別・不快語とは、ある特定の集団や個人、マイノリティ等(マジョリティの場合ももちろんあります)に不快感を抱かせてしまったり、もとよりその存在を疎外・否定するかのような印象を与えてしまう言葉のことです。皆さんはこの言葉自体が意味するところはおおかた把握されていることと思います。 読者、ファン、クラ

【校閲ダヨリ】 vol.21 akemashite omedetou gozaimasu(年始スペシャル)

みなさまおつかれさまです。 2020年最初の校閲ダヨリです。(旧年中は大変お世話になりました) 今回ですが、なんと小学生から質問(というよりは疑問)をいただくことができましたので、それにお答えしつつ記事を構成したいと思います。 テーマは、「ローマ字」です。 「学校でローマ字を習っているのだけれど、いくつか種類があって全て覚えるのが大変。そもそもなんでこんなに書き方があるの? 種類をごちゃまぜにして書いてもいいの?」 というような感じなのですが、なかなか鋭い意見ですよ

【校閲ダヨリ】 vol.22 日本語名のローマ字表記

        みなさまおつかれさまです。 ローマ字はなかなか奥が深いので、今回は前号を引っ張って書きたいと思います。 日本語名のローマ字表記にかんして「どう思います?」と社内でちょっとしたご質問をいただきましたので、現状の共有と、今後の展開の予想をしてみたいと思います。 いま社会人の皆さんは、自分の名前をローマ字で書く際に     Takehira Ito     のように 名 → 姓 とすることをおそらく中学校の英語の授業で習ったのではないでしょうか。     これ

【校閲ダヨリ】 vol.26 常用漢字という灯台

    みなさまおつかれさまです。 今回は、常用漢字にかんするお話です。 特に、刊行物に携わる方々は、知っておかなければ損をしてしまう言語事項のひとつといえるかと思います。 また、ウェブ記事やプレスリリース、クライアントとのやりとりなど、出版業務以外の場面でも役立つファクターですので、認識があいまいな方にも読んでいただければ幸いです。 最初に、すごくざっくりと(でも明快に)常用漢字の定義についてお話しすると、 義務教育期間に習う漢字 という11文字で完結させることがで

【校閲ダヨリ】 vol.29 カギカッコの使い方

みなさまおつかれさまです。 先日、「カギカッコの正しい使い方について記事を書いてほしい」と、とある方からリクエストをいただきました。 私も、かねてより「いつか書こう」と思っていたテーマであり、大学時代の指導教官だった教授にもアドバイスを請うべく連絡をとったりしていたのですが、これが深入りすればするほど出口が見えず、記事にすることができませんでした。 直接話をお聞きしたことで、ご質問者さまを含め、こと出版物に携わる方は想像以上に多くが同じ疑問を抱えているのかもしれないと思い、

【校閲ダヨリ】 vol.30 文字すらかつよく解さず、いはんや機種依存文字をや。

        みなさまおつかれさまです。 今回は、ハイテクノロジー(当人比)な領域の、文字の話をしてみたいと思います。 「文字化け」という現象がテーマです。 (もしかしたら、化けて表示されるかもしれません……)    話をするといっても、私自身いままで「文字化け」という現象を「うーん、なんか化けてる」と思う程度で、不思議がることも原因を調べることもしてこなかった(これはいけません)テーマであり、調べるという校閲者のアビリティを最大限使用するなかでわかったことを共有させ

【校閲ダヨリ】 vol.31 初対面。ちらっと見える洒落に粋を感じます (カタカナ語考察)

みなさまおつかれさまです。 今回は、カタカナ語のお話です。 日常生活で、見ない・聞かない日はないといっても過言ではないこの表記法、先日は、都知事のカタカナ語にまつわる発言が取り沙汰されるということもありました。 良いテーマだと思いますのでここでひとつお時間を頂戴して、カタカナ語を用いることが、聞き手(読み手)にどんな印象を与えるのか考察してみることにします。 さて、皆さまの中には カタカナ語というよりは、外来語では?     と思われる方もいらっしゃるかもしれませ