校閲ダヨリ

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校閲ダヨリ公式アカウントです。校閲者・伊藤剛平(初頭五餅)が言葉の本質を伝えるべく、「校閲ダヨリ」を発信していきます。 公式HP:https://uitogohei-proofreading-office.com/

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大切なみなさまに、大切なおしらせを。校閲ダヨリが大きく変わります

みなさまおつかれさまです。 前回の投稿からすっかり時間が経ってしまいました。ごめんなさい。 この数カ月というもの、矢のように時間が流れ、私は人生においてかなり重要な決断を、全ての仕事を行いながら実行しました。 決断その1: 会社を辞めました。 理由「やり切りました!」 決断その2: フリーになります。 理由「僕のことを校閲者として使えるのが大企業だけなんて、ちょっと変だよな。みんなの校閲者でありたい」 決断その3: 千葉にUターンします。 理由1「ネット環境、

    • 【校閲ダヨリ】 vol.76 言葉の力

      みなさまおつかれさまです。 とうとう、年一回の更新になりつつありますが、それが現在の私の身の丈に合ったペースかなと思っています。 初頭五餅校閲事務所を起こしてから、全て一人でやっておりますので、目の健康やワークライフバランスを考えると、 「釣りに行きたい」気持ちはないがしろにできないのです。(笑ってください) 幸い、言葉が廃れたり、言語事項の潮目が変わるまでには多くの時間を要しますので、いままでの記事もしばらくは問題なく使えるでしょう。 たくさんあるので、字引き感覚で都

      • 【校閲ダヨリ】 vol.75 「生む」と「産む」

        みなさまおつかれさまです。 久しぶりの更新になってしまいました。 昨年の同じ頃に会社を辞め、どうなることかと思った一年でしたが、家族をはじめ多くの方に支えられ、なんとか忙しく過ごすことができました。 心より、ありがとうございます。 さて、ここからは最近私が気になっている単語の使い分けについて少しお話しさせていただきたいと思います。 「生む」と「産む」です。 どちらも、「何かをこの世に送り出す」という意味で共通している言葉ですが、世間では使い分けがなされる傾向があるよう

        • 【校閲ダヨリ】 vol.74 フィルターバブルとエコーチェンバー

          みなさまおつかれさまです。 今回は、最近私が「意識しつつ回避しようとしている」2つの状態を示す言葉、「フィルターバブル」と「エコーチェンバー」についてお話しします。 私の認識では、どちらも近年聞かれるようになった単語です。 そして、恥ずかしながらいままでどちらかというと「どうでも良い」と感じていた言葉でもあります。 しかし、Twitterをはじめた昨年12月以降「もしかしてこれのことか?」と思うことが増え、「この状態が常になってしまうのはどうなのだろう?」と考えるようになっ

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          【校閲ダヨリ】 vol.73 「栗」はなんと発音するか(アクセント)

          みなさまおつかれさまです。 ようやくひと段落つきまして、気がつけばゴールデンウイークも中盤でございます。 あまり天気がパッとしませんが、みなさまは連休いかがお過ごしでしょうか。 今回は、東京時代、私がよく部下から指摘された「発音(アクセント)」に関するお話です。 少し恥ずかしいですが、まずはその背景をご説明いたします。 東京は世田谷の会社で働いていた当時、部下と話しているときに、何かの流れで「栗」という単語が出たんです。 たとえばこんな感じです。 このあと、その人

          【校閲ダヨリ】 vol.73 「栗」はなんと発音するか(アクセント)

          【校閲ダヨリ】 vol.72 絵文字のこと

          みなさまおつかれさまです。 新年度が始まり早1週間が経ちました。学校も、そろそろ入学式というところが多いのではないでしょうか。 個人的に、春は、言葉の持つ力をことのほか体感する(してしまう)季節ではないかなと感じています。 特に入学や就職、クラス替えや異動など、新たなステージに進む方にとっては、ワクワクや不安のもとが「言葉」ということが多いのではないでしょうか。 「また自己紹介するのか……」(私はこれでした)、「先輩にきついこと言われたら……」、「ビジネスメールのマナーが

          【校閲ダヨリ】 vol.72 絵文字のこと

          【校閲ダヨリ】 vol.71 残したい日本語 その2 「衣紋掛け」

          みなさまおつかれさまです。 春らしい陽気になってきましたね。 私が春を感じるのは、目の痒み……なのですが、先日久しぶりに(8年ぶりでしょうか)「つくし」を見ることができ、懐かしい気持ちになれました。 併せて、卒業、入学のシーズンでもあります。 心の炎を一段階強くする、そんな心地よい春の風がみなさまに吹いてくれることを心よりお祈りしております。 さて、「魔法瓶」ではじまった「残したい日本語」シリーズ、今回は2回目です。 「衣紋掛け」という言葉なのですが、こちらは前回

          【校閲ダヨリ】 vol.71 残したい日本語 その2 「衣紋掛け」

          【校閲ダヨリ】 vol.70 「怒ったりしてごめん」に指摘を入れるのですか? 接続助詞「たり」

          みなさまおつかれさまです。 慌ただしく毎日が過ぎ、いつの間にかもう3月です。 笑ったり泣いたりできる日常がいかに尊いものかを意識せずにはいられない今日この頃。 言葉の仕事をしている私はどうしようもない無力感を覚えているのですが、孔子の「近き者は説(よろこ)び、遠き者は来たる」に立ち返り、自分の周りからあらためて「言葉の大切さ」や「言葉で生きやすさが変わること」を伝えていきたいなと考えています。 相手に伝えたり、相手から伝えられたことを理解して未来(近くても遠くても)の

          【校閲ダヨリ】 vol.70 「怒ったりしてごめん」に指摘を入れるのですか? 接続助詞「たり」

          【校閲ダヨリ】 vol.69 残したい日本語 その1 「魔法瓶」

          みなさまおつかれさまです。 立春は過ぎましたが、暖かさと出合えるのはまだ先かなと思わせる寒さですね。 私は花粉症なので、暖かくなればそれはそれでつらく、だいたい一年中、なにかしらストイックな環境に身を置いている気持ちなのですが、よく考えればみなさまと同じでございました(笑)。 言葉で、自分にご褒美をあげながら生きています。 ともあれ、例年に比べ雪がかなり降っているようですので、該当地域のみなさまは、雪下ろし、雪かき、スリップなど、お怪我なくご安全に過ごされますよう、心

          【校閲ダヨリ】 vol.69 残したい日本語 その1 「魔法瓶」

          【校閲ダヨリ】 vol.68 「〜たち」を「〜達」と書いてはいけないのか。

          みなさまおつかれさまです。 早くもSNS疲れを催している伊藤です。(本当に早い) なんというか、「人それぞれの意思」が流れ込んでくる感覚で、MARVEL作品ヒーローたちが最初に経験する「苦しみ」にオーバーラップしているようです。 なるほど。 超えたら強くなれるのですね。(そんなに上手くいくか) 多様性に触れられるのはありがたいので、今後もマイペースでSNSと付き合っていこうと思います。 さて、Twitterは多くの「言葉の話」に出合える場として私にとってとても有益

          【校閲ダヨリ】 vol.68 「〜たち」を「〜達」と書いてはいけないのか。

          【校閲ダヨリ】 vol.67 国語の「習熟」について考えてみる

          みなさまおつかれさまです。 またこうして記事を書けることが、とてもうれしいです。 さて、12月29日の記事でお知らせいたしましたが このたびTwitterとInstagramにアカウントを開設したのです。 Instagramはプライベートでもそこそこ稼働していたので自分にとって目新しい出合いはほとんどなかったのですが、異次元だったのがTwitterです。 情報量のなんと多いことか! 更新するたびに流れてゆくタイムラインは、言葉の川のようです。 職業柄、また私の興味・関

          【校閲ダヨリ】 vol.67 国語の「習熟」について考えてみる

          【校閲ダヨリ】 vol.66 お買徳な話

          みなさまおつかれさまです。 少しハードなテーマが続いたので、しばらくはゆったりとした回にしたいと思います。 今回は、まずみなさんに一枚の写真をご覧いただきたいです。 とあるスーパーで私が撮影したものです。 なんだ、ただの鯛好きか。 いや、まあ鯛は好きなんですが(迷った挙句買いませんでした)、見ていただきたいのはPOPの上部です。 「更にお買徳」とありますよね。 それがどうした? お買徳は、通常「お買得」や「お買い得」などと書かれますよね。 ああ、そういうことか

          【校閲ダヨリ】 vol.66 お買徳な話

          【校閲ダヨリ】 vol.65 僕の夏休みの自由研究④(計量言語学の手法Ⅲ)※難

          みなさまおつかれさまです。 最終回に来て予想外の確認事項が発生し元の文献を取り寄せることになり、作成に時間がかかってしまいました。 計量言語学ではじめたときには、まさかこんなに長いものになるとは想像だにしていなかったのですが、ようやく今回で終幕です。 前回は、3つある計量語彙論の本質に迫る法則のうちひとつを紹介しました(Zipf(ジップ)の法則)。 ここでは、残りふたつを取り扱いたいと思います。 2.【樺島の法則】 I=a×(eの-bN乗)M=c-dNV=100-I-M

          【校閲ダヨリ】 vol.65 僕の夏休みの自由研究④(計量言語学の手法Ⅲ)※難

          【校閲ダヨリ】 vol.64 僕の夏休みの自由研究③(計量言語学の手法Ⅱ)※難

          みなさまおつかれさまです。 前回は、「コーパス」という単語調査ツールがちらっと登場したところでお話を終えたかと思います。 コーパスとは、英語では「corpus」と書き、「(文書・法典などの)集成、収集」という意味がある単語です。ちなみに次に立つ意味が、「体(body)、(特に犯罪の客観的な証拠としての)死体」だったりする少々不気味な単語であることは、辞書で調べるまで知りませんでした。(これだから言葉の研究はやめられないのです) さて、こと日本において「コーパス」という単語

          【校閲ダヨリ】 vol.64 僕の夏休みの自由研究③(計量言語学の手法Ⅱ)※難

          【校閲ダヨリ】 vol.63 僕の夏休みの自由研究②(計量言語学の手法)※やや難

          みなさまおつかれさまです。 夏休みの自由研究としておきながら、すっかり新学期、涼しい季節になってしまいました。 とはいえ私は自分に課した課題を終えなければなりません。 今回から、いよいよ計量語彙論の具体的な手法に関してまとめていきます。 さて、前回お話しした通り、計量言語学は「データを集めるところからスタート」する学問であります。 ……しかし、ある程度ターゲットを絞る必要はあります。 たとえば、「近代文学の文体的特徴」を調べたいと思えば対象は近代文学のみでよいですし、「

          【校閲ダヨリ】 vol.63 僕の夏休みの自由研究②(計量言語学の手法)※やや難

          【校閲ダヨリ】 vol.62 僕の夏休みの自由研究①(計量言語学への招待)

          みなさまおつかれさまです。 世間では夏休みの期間ですね。 私もささやかな休日を取得することができましたので、久しぶりに気の赴くままに調べたいことを調べてみました。 今回は、個人的な自由研究の発表です。 テーマは、「計量言語学」。 言語学のいち研究分野なのですが、実をいう私もほとんど馴染みがない世界で、ゼロからのスタートです。 みなさんがイメージする言語学は、多くの場合「表現に関する考察」など、扱いたい事象を取り立てて、先行研究などとの比較から論を構成するものなのではない

          【校閲ダヨリ】 vol.62 僕の夏休みの自由研究①(計量言語学への招待)