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2023/1月に観た新作映画3選

はじめに

こんにちは。

今年から、毎月観た新作映画や新譜から
よかった作品を抜粋して記事にしていこうと思います。

レビューというよりは、
自分がその作品に触れた時の感情の棚卸し作業に近いです。
(すぐ忘れちゃうし)

よければ見てやってください。

まずは今月観た新作映画11本中、
私の心に刻まれた3作品を紹介して行きます。


※直接的にストーリーの本筋には触れないつもりですが、
 事前情報を入れたくない人はご注意を…。



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1.SHE SAID シー・セッド その名を暴け



あらすじ、概要はこんな感じ。

映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタインによる性的暴行を告発した2人の女性記者による回顧録を基に映画化した社会派ドラマ。

ニューヨーク・タイムズ紙の記者ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターは、大物映画プロデューサーのワインスタインが数十年にわたって続けてきた性的暴行について取材を始めるが、ワインスタインがこれまで何度も記事をもみ消してきたことを知る。被害女性の多くは示談に応じており、証言すれば訴えられるという恐怖や当時のトラウマによって声を上げられずにいた。問題の本質が業界の隠蔽体質にあると気づいた記者たちは、取材対象から拒否され、ワインスタイン側からの妨害を受けながらも、真実を追い求めて奔走する。

映画.com


記憶に新しいハリウッドの大スキャンダルが早くも映画化。
おもしろかったです!

およそ2時間、張り詰め続ける緊迫感。
既にワインスタインは収監されているし、
事件の顛末は知っているにも関わらず、
ハラハラと手に汗握りました。

その時点でエンタメ映画としての役割を全うしている
立派な作品だと思います。

「強大な権力によって“声を奪われた人たち”がいる」
という事実。
性的暴行自体の卑劣さもさることながら、
それを権力によって封じ込める陰惨さに絶句しました。

“声を奪われたまま生きる”ってどんなに辛いことなんだろうか…

そしてこの映画では、権力の闇に覆われた世界を、
ジャーナリズムが切り裂いて行く様を力強く描いています。

この辺りは、傑作ドラマ「エルピス」に通じるものがあり、
真実の在り方について頭を巡らせる機会になりました。



さらに個人的に印象的だったのは、男性の描き方。

主人公の2人の女性ジャーナリストはともに既婚者で、
小さな子供がいて、家庭がある。
彼女らは家庭を半ば犠牲にし、真実を追求し続けるのですが
それに対し夫たちは決して声を荒げることなく、妻たちをサポート。
その描き方があまりにも自然だったので、
意図的な演出なのかなと勘繰ったりしています。

色んな記事やレビューを見ていると、
ワインスタインと近しい存在であった
ブラッド・ピットが製作としてクレジットされていたり、
そもそもニューヨーク・タイムズにも
ワインスタインの悪行を黙殺してきた過去があるのでは?
といった指摘もあるようで。

その辺のモヤッと感は確かにあるものの、
純粋に映画として楽しめたので、私は評価したいと思います。

ちなみにマリア・シュラーダー監督の前作、
アイム・ユア・マン」も新感覚の恋愛映画でめちゃくちゃ面白いです。

【総合点数】
→85点

【このシーンが最高】
→キャリー・マリガンがナンパ男を罵倒するシーン。

【この選曲がツボ!】
→クラブシーンで流れるデヴィッド・ボウイ「レッツ・ダンス」




2.イニシェリン島の精霊



あらすじ、概要はこんな感じ。

「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督が、人の死を予告するというアイルランドの精霊・バンシーをモチーフに描いた人間ドラマ。

1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルムから絶縁を言い渡されてしまう。理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しようとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。ついには、これ以上関わろうとするなら自分の指を切り落とすと宣言する。

映画.com

前作「スリー・ビルボード」で映画ファンの心を鷲掴みにした、
マーティン・マクドナー監督の新作は
え?なにこの切り口??っていう驚きの一本で、、

だってええ歳したオッサン二人が、
“お前のことが嫌い”とか“もう友達じゃない”とか
“俺、なんかしたんか?”とか
ずっと言い合うってだけの作品なんです、極端な話。

それがどうして、キャラクターの愛嬌や、
ユーモア溢れる会話が面白く、一気に引き込まれてしまいました。

牧歌的な雰囲気と、不穏でダーティな世界観のバランスが絶妙。
ミニマムなお話なのに「次は何が起こるんだろう??」
とドキドキが止まりませんでした。

役者陣に目を向けると、オスカー候補となってる三人、
特に島で変人扱いされている若者、ドミニクを演じたバリー・コーガンがすごい!

元からスネ夫っぽいビジュアルで好みでしたが、
改めて役者としてのスキルに感服しました。

価値観の違いや、人間の二面性など
テーマとしては色々あると思うのですが、
“戦争の始まりを描いた映画”という批評が一番しっくりきたかな。
些細な諍い、互いに譲らない未熟さ、、
細やかな事象が、やがて大きな争いを生むと。
そんな人間の愚かさと、アイルランドの内戦をリンクさせつつ
あくまで“ブラックコメディ”として昇華している。
オスカー候補も頷ける素晴らしい作品でした。

【総合点数】
→85点

【このシーンが最高】
→コリン・ファレルが対岸の内戦を見ながら
 「せいぜい頑張れ」って呟くシーン。アイロニックすぎる!

【この選曲がツボ!】
→ないです!個人的にケルティックな音楽があんまり好きじゃない、、




3.行く先/後世



あらすじはこんな感じ。

作家を夢見る今どきの若者、ラビディ。シェアルームに住みながら、バイトや小遣い稼ぎでなんとか生活しているが、エリザとの出会いにより表面的な自分の生き方を見直すようになる。

Filmarks


オンラインで開催されているフランス映画のイベント、
「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」。
日本では中々お目にかかれないフランス映画見れる貴重な機会なのですが、
ありがたいことにamazon primeで無料配信中ということで。

その中から早速見た1本が、こちら。

めちゃくちゃザックリ要約すると、
「作家志望の貧乏な若者の、
モラトリアムと恋を描いた成長譚」って感じですかね。

よくある話で、雰囲気重視系の小品なんですが、
妙に愛おしくて、刺さってしまいました。

とにかく主人公のラビディがクズ!!

才能には恵まれてるハズなのに、
ロクに努力もせず、後先考えず、自分本位で、
常に自分を大きく見せることに必死で、
そのクセ女の子には積極的っていう謎のキャラクター造形、、

コイツ、最低野郎なんですけど、なぜか憎めない、、笑
(ちょっと自分に重ねてしまったりもして、、)


コイツ、クズです。

そんなクズ主人公を取り巻く人たち、
家族、ルームメイト、恋人、バイト先の店長、
これがもう、全員最高なんですよ、、

特にルームメイトのアレクセイ君がチャーミングすぎまして、、
主人公のルームメイトはぽっちゃりであればあるほどいい。
という自説がさらに確固たるものになりました。

ラビディ、お前マジで周囲に感謝しろよ、、。

正直見る人によっては、最悪の映画かもしれませんが
クズなりに成長していくラビディの姿はグッときたし、
フランスの若者たちのオシャレでナチュラルな生き方に
憧れセンサーが反応してしまったのも事実ですので、
私は高評価にさせていただきました。

【総合点数】
→75点

【このシーンが最高】
→ラビディがナンパするシーンですね。
 メンタル強すぎる、、笑

【この選曲がツボ!】
→狭い部屋でこの曲をかけて踊るシーンが最高でした。



おわりに


いかがでしたでしょうか。
1月は正直、「シー・セッド」と「イニシェリン島」が抜けてたかな。
という感じでした、、。

ちなみに紹介した映画に見た新作映画はこんな感じ。
(オススメ順)
↓  ↓  ↓
野獣の血
波の間に
恋のいばら
ホワイト・ノイズ(Netflix)
パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女
非常宣言
Mr.Children「GIFT for you」
フラッグ・デイ 父を想う日

ミスチルのドキュメンタリーは期待が大きかっただけに残念、、
ダークホースは城定監督の「恋のいばら」!



2月に劇場鑑賞予定の新作リストはこちら。
↓  ↓  ↓
チョコレートな人々
バイオレント・ナイト
バビロン
エゴイスト
アントマン&ワスプ クアントマニア
別れる決心
ボーンズ アンド オール
逆転のトライアングル
少女は卒業しない

いよいよ本格的にオスカー絡みの作品が日本に雪崩れ込んでくる時期。
上映時間長めの大作が多いので、心して挑もうと思います。

以上、長文、乱文失礼いたしました!

それでは、また来月!


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