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藍羽の異世界旅行記

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藍羽放浪記・・・11ページ目【小説】

藍羽放浪記・・・11ページ目【小説】

星の都のとある喫茶店に入った僕は、自分の書きかけの小説に登場する「小鳥遊夏希」(たかなし なつき)に出会った。
口ぶりから、この喫茶店のマスターなのだろうか。

小鳥遊夏希は僕が彼女の名前を言い当てたことから、僕を怪しい者と認識したようで険しい表情で僕を見ていた。

「なんで…私の名前を知っているんですか?」

「あ、え…っと」

適当な言い訳が見つからず、どうすべきか必死に思考をめぐらせた。

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藍羽放浪記・・・10ページ目【小説】

藍羽放浪記・・・10ページ目【小説】

星の都、アルカ・ナハトにしばらく滞在することにした僕は、宿屋を探しながら先程の老父の言葉の意味を考えていた。

「あの人には、僕の何が見えていたんだろう…」

そんなことをポツリとつぶやきつつ、歩く。
ここは繁華街のようだけど、噴水のあった広場よりも人が少ないと感じる。
1本の道の両側に様々な店が並んでいる。
魔法を売っているお店や占いのお店が多い印象を受ける。
これだけ同じようなお店があれば、

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藍羽放浪記・・・9ページ目【小説】

藍羽放浪記・・・9ページ目【小説】

星の都、「アルカ・ナハト」にやってきた僕は町の広場にやってきた。
広場は環状になっていて中心には星が映し出された大きな噴水があり
その周りのベンチに多くの人が腰かけて談笑している。

噴水の周り、少し歩いて人や建物の様子を観察してみようか。

街ゆく人たちの服装は様々で、目に付くだけで
星の黒いローブに魔女帽子の男女。
ロングコートの怪しげな雰囲気の男性。
指にはめるには大きすぎる宝石の付いた指輪

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藍羽放浪記 8ページ目

藍羽放浪記 8ページ目

2024年4月9日

満点の星空の下で一夜を明かした僕は、寝袋を片付けて「星の都」までやって来た。

本来の「星の都」の名前は「アルカ・ナハト」と言うらしい。
「アルカナ」と「ナハト」.…なのかな?

この街に来て何より不思議だったことは、街の境界線を越えた瞬間、周囲が真っ暗になったこと。

なるほど、この都ではずっと夜なんだろう。
となれば、星が好きな僕がやることといえば空を眺めることになる訳だ

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藍羽放浪記7ページ目

藍羽放浪記7ページ目

2024年4月8日

僕は自信を持って好きだと言えるものが幾つかある。

水族館、音楽、ゲーム。
そして星。

今日はかなりひらけた丘の上の草のクッションの上で日記を書く。
夜だから当たり前だが、辺りは暗い。
恭赤(うやらか)が夜でも動けるようにと、狐火の明かりを旅に出る前に用意してくれたからそれを使って手元と辺りを明るくする。

海の中であったことを思い出すと早く恭赤(うやらか)の所に戻らなけれ

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藍羽放浪記6ページ目【小説】

藍羽放浪記6ページ目【小説】

どれくらい経ったのだろうか…

そんなことを考えながらゆっくりと目を開ける。

「これが…知らない天井ってやつか…」

どこかの小さい部屋の天井が目の前に映し出された。
ゆっくりと体を起こして辺りを見回すと、小さいテーブルと食器の入ったガラス張りの棚があるのがわかる。

部屋の大きさ的に店員の休憩所・・・といった感じだ。
僕はソファの上に横になっていたようで、少し腰が痛い。

ガチャ・・・

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藍羽放浪記5ページ目・・・【小説】

藍羽放浪記5ページ目・・・【小説】

海に沈む自分の知る街と瓜二つの街を後にした僕は情報を集める為にここから数十キロ離れた位置にあるであろう街に向かった。

バス?タクシー?なのか分からないけど、ここでは「イルカ」に乗って移動するのがメジャーらしい。
幸い、こちらの世界と元の世界の通貨は同じらしく、料金は支払うことが出来た。

目的地に到着して「イルカ」に料金を支払い、「イルカ」が遠くなっていくのを確認して僕は辺りを見渡した。

「や

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藍羽放浪記 4ページ目

藍羽放浪記 4ページ目

2024年3月18日

今日は海の中に入った。
こちらの世界の海は場所によっては海底を歩くことができるらしい。
水中でも呼吸ができるのはとても不思議な感覚がする。

海の中独自の文明あるようで、龍宮城?のようなものや地上と同じように街や村があったりする。

そして一つ気になった街?があった。

それは、僕が向こうの世界で過ごした街と瓜二つの街があったこと。僕の家ももちろんあったよ。

何より奇妙

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藍羽放浪記  3ページ目

藍羽放浪記 3ページ目

2024年3月12日

今日は大きな街の一角にあるこのレストランで日記を書くことにする。

街の名前は「eòlas」
調べてみたら元の世界のスコットランド・ゲール語で「知識」という意味の言葉らしい。読み方は分からん。なんでも「創作者の知識と夢が創り出した街」ということらしくて、物書きやイラストレーターが好きそうな「ファンタジー感」が街全体に現れている。
そのせいか、街ゆく人々は知ってる単語で言うな

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藍羽放浪記2ページ目

藍羽放浪記2ページ目

2024年3月3日
こちらの気候と元の世界の気候は連動してることに気がついた。

そして「魔界」だったり「天界」だったり「魔法の森」やら「海底神殿」があるような世界だが、それ以外は元の世界とほとんど変わりがないようだ。

どこに行ってもだいたい生きているのは、この体が作り物だからなのか、はたまたそういう環境なのか…考察してみるのも面白そうだ。

そして今日は「魔法の森」でこんな植物を見つけた。

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藍羽放浪記 1ページ目

藍羽放浪記 1ページ目

2024年2月27日
この異世界旅行にも慣れてきた今日この頃。
僕はいつぞや、宿がなくて困っていた時に助けてもらったこのカフェで今日の日記を書いている。

こうやって電子媒体で文字を書くのは、後々データのコピーや誰かとの共有をするのに都合はいいけれど…
ペンと紙を使って書く方が僕的には好きかなぁ。と思ったり。

持ってない訳では無いけど、ペンはそろそろインクも切れそうだ。
何かいいペンがあればいい

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