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愛着 #23 (そのゴミは誰のゴミ)

2023年 7月

愛着という言葉が
正しいのか分からない。

増え続ける缶は
徐々に丘のように成し
目の中でやけにしっくりとした
もうそこに当然あるもののごとき様。

夜だからいくらか綺麗に見えたり
雪だからいくらか綺麗に見えたり
雨だからいくらか綺麗に見えたり
晴れだからいくらか綺麗に見えたり

美しく見える理由を
探そうとしていた日々は過ぎ

ここにいる自分と
ここにあるゴミと
ここにある芸術を
心の目で正視する。

はじめからそれはゴミであり物であり
美しく生まれ変わった商品ではないし
これからも生まれ変わりはしない。
本性のままここにあり続ける事が
私のような目撃者に
かつて抱いたことのない
衝動と
新しい物の見方を与える。

見つめても
見つめても
一向に目が合うことは無く
そっぽを向かれているようで

けれども
その物々しい態度が
一瞬を捉えて離さない。

何になろうとするわけでもなく
人の手を伝いここへ来た。

お、脱走兵。

などと口をついて出る言葉。

私達は何と戦っているのか。

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