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【アドラー心理学の実践】#07 “個人”とは何か:質疑応答

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。10月4日(木)から早稲田大学エクステンションセンター中野校で「アドラー心理学実践講座」(全8回)がスタートしました。この連載では、この講座の内容を同時並行でお伝えしています。講座に参加できない方にも、その雰囲気が伝わればいいなと思っています。

前回は個人という概念を説明しました。行動、認知、感情はそれぞれに協力しあって個人を構成しています。その意味で「個人」というのは仮想的なものです。仮説構成体(construct)とも言えます。仮想的であってもアドラーにとっては全体を統合する「個人」という概念が必要だということを言いました。

今回はたくさんいただいた質問からおもなものを選んで取り上げます。講座での話が多岐にわたっているので、いろいろな質問があります。

[Q1] アドラー心理学において、「目的」と「目標」は、どのように使い分けられているのでしょうか? 向後先生のご本で(目的論に関する部分で)「目標」という用語がよく出てきましたので、お伺いできればと思う次第です。

これはアドラー心理学に限らず一般的にこのように定義しておくと行き違いが少なくなるでしょう。目的は、最終的に到達すべき状態で、英語ではGoalに対応します。一方、目標はその目的に至る途中の目印で、英語ではObjectivesに対応します。目的は抽象的で、目標は具体的です。

  目標1 → 目標2 → 目標3 →・・・→目的(ゴール)

このようなイメージです。

[Q2] 成長、固定マインドセットでは信念次第で能力が伸びたり止まったりすると言われましたが、「やれば出来る」と子どもに言うと信念はその気になるが、やらなければ出来るようにはならないのではないでしょうか。

その通りです。他者の信念を変えることは相当困難なことです。そして、自分なら自らの信念を変えられるかといえば、それもまた困難なことです。自分の信念は、それまでの長い期間のさまざな体験から形作られているので、簡単には変えられません。自分自身でもです。信念を急激に変えるためには洗脳や衝撃的な体験が必要です。

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