4-お勧めの本

【本】依田高典『「ココロ」の経済学』:行動経済学のこれまでとこれからの展開

木曜日はお勧めの本を紹介しています。

今回は依田高典『「ココロ」の経済学』(ちくま新書, 2016)を取り上げます。

■要約

行動経済学はサイモンが「限定合理性(人間の合理性が限定的であること)」を主張して、合理的経済人(ホモエコノミカス)をモデルとしてきた主流派経済学を批判するところからスタートした。カーネマンはそれを引き継ぎ、人間の判断にはバイアスがかかっているけれども、そのバイアスには法則性があることを明らかにした。そのバイアスの例が、代表性バイアス(典型例を基準としやすい)、想起しやすさバイアス(思い浮かびやすいことに過大な評価を与える)、係留バイアス(初めの情報に依存しやすい)である。より良い選択をさせようとするナッジも行動経済学の理論が土台になっている。

■ポイント

期待効用のモデルは、効用にそれが手に入る確率(期待)をかけて得られる期待値に基づく。人は期待値に基づいて判断をしていると考えられるけれども、そうでない例がある。(A) 確率80%で得られる4万円と (B) 確率100%で得られる3万円では、(B)を選ぶ人が多い。しかし、期待値は、(A) 3.2万円、(B) 3万円となり、(A)の方が高い。

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