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(137) レビューマトリックスの作り方と活用

2021年5月20日(木)

2020年度の「教える技術オンライン研究会(OGOK)」(全10回)から、研究トピックや研究スキルを紹介するシリーズの第10回目、最終回です。今回はレビューマトリックスの作り方と活用を紹介します。レビューマトリックスの例としてExcelシートも載せてあります。最後には、そのレクチャービデオ(26分)を紹介しています。

この記事も参考にしてください。

(046) レビュー論文の書き方:その一例

・文献レビューは研究を実施する上で必須のスキル

研究トピックを決めたあとで、関連する論文を集めて、文献レビューをすることは必須です。文献レビューというのは、関連する論文を読んで、そのトピックにおける研究群によって何がどこまで明らかになっているのかをまとめて1つのストーリーにすることです。文献レビューをすることで、自分の研究論文の序論の中の研究史という部分を書くことができます。

このように文献レビューをすることは重要な研究スキルの1つです。しかし、ゼミなどでもあまりトレーニングされずに、個人の努力に任されているのが普通です。ここでは、個人でも文献レビューが体系的にできる方法として、レビューマトリックスという方法を紹介します。

・文献を読んだらExcelシートに書き込んでいく

レビューマトリックスというのは、文献の内容を要素ごとにExcelシートにまとめていくものです。こうすることによって、これまで読んだ文献を一目で見渡すことができます。さらに、Excelのソート機能を使って、著者のABC順に並べたり、キーワードごとにまとめたり、自分で評価した重要度順に眺めることもできます。このように文献を一覧して、いろいろな切り口で並べ替えることによって、研究史のストーリーがつかみやすくなるという効果があります。

このようにして、論文を一本ずつ読んでいくたびにレビューマトリックスの行が増えていきますので、大きな励みになるでしょう。また、自分が読んだ論文の内容はすべてこのExcelシートの中に入っているということで、安心感を得ることもできるでしょう。

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・レビューマトリックスの要素

では、レビューマトリックスの要素について見ていきましょう。要素というのはExcelシートの列に当たる部分に何を書いていくかということです。

1つ目は、文献情報です。著者名、出版年、論文タイトル、ジャーナル名、巻(Vol.)、号(No.)、ページの情報を論文から書き写していきます。これは、論文の最後に引用文献リストを書くときにそのまま使うことができます。列を1つ増やして、ローマ字化した著者名を入れておくと、引用文献リストをABC順にソートすることができます。

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