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【教える技術】#08 考え方の枠組み(スキーマ)を作ることと応用すること

火曜日は「教えること/学ぶこと」のトピックで書いています。早稲田大学エクステンションセンター中野校での「教える技術」講座の内容を連載しています。

前回は、認知技能の中心的な能力である問題解決の教え方を取り上げました。ポイントは2つあります。1つ目は、学習者がすでに持っている間違った考え方「バグルール」を見つけだしてそれを修正すること。もう1つは、ある状況での解決の仕方は、別の状況になると応用できないことが多い(領域固有性)ので、それを積極的に促進することです。

今回は問題を解決するときに使っている考え方の枠組みを作ることと応用することについて考えてみます。

考え方の枠組みのことを「スキーマ (schema) 」と呼びます。ちなみにschemaは単数形であり、複数形はschemataとなります。私たちはスキーマという考え方の枠組みをひとつひとつ獲得していくことによって、さまざまな問題を解決できるようになります。

ハノイの塔というパズルをやったことがありますか。これは一箇所に積まれている大きさの違う円盤を、別の位置に移すというパズルです。条件は、(1) 一度に1つの円盤だけ移動できることと、(2) 小さい円盤の上にそれより大きい円盤を乗せることはできないことの2つです。

次のビデオでは、7枚の円盤での問題を解いています。最短で127手で、左に積まれた7枚の円盤を真ん中に移動することができます。
https://www.youtube.com/watch?v=TY8Uxzo--Nw

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