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【その他 - 雑談】戦略コンサルタントの終わらない一日の流れ

激務で知られている外資系のコンサルティングファームですが、採用HP等を見るとかなりフレキシブルに働かれている印象です。
もちろん、チームや案件によって働き方は異なるので、そういう方もいるでしょうが、多くのコンサルタントはハードワーク好きなので、長時間働いている人が多いです。

ここでは、戦略系の案件に従事していた時の一日の流れを見ていきましょう。あくまでも一例になりますし、クライアント・ファームが特定されないよう少し表現を丸めている点があることはご留意ください。

それでは見ていきましょう。


戦略コンサルタントはそもそもどこで働く?

まず勤務場所ですが”出社”ないしは、”クライアント先”です。
そもそもですが、戦略系の案件では、チーム内でかなり密にコミュニケーションを取ります。
いくつか理由はありますが、主にこの2つに集約されます。
①    スピーディーな対応
戦略案件は、タイトなスケジュールで進められることが多いです。
なぜなら、戦略案件であるM&Aのデューデリジェンスや、経営戦略立案は早いに越したことがないからです。
「買収したい会社が他の会社に買収されたら?」、「戦略立案中に、同様の施策を競合他社が進めたら?」など、ビジネスシーンにおいて一瞬の差で大きな差が付くことがあるからです。
これらの理由から戦略案件はスピード命です。そのため、お昼の時間に「競合他社の直近のM&A履歴とその目的を整理して明日までにほしい」なんて言われることもざらです。そのため、会社内で迅速に対応するためにも会話の機会を多く設けます。

②    手戻り工数の削減・全体効率化

戦略案件は短期間で高額な受注金額を受領するため、全体での効率化に加え、高品質な成果物が求められます。そのため、手戻り工数を発生させないために、事前の認識をしっかり合わせたうえで作業に入ります。そもそもの認識を誤った上で進めた成果物には何の価値もないからです。参考程度ですが、資料一つ作るにあたっても、以下のプロセスで進めるなど高品質な成果物を作成することに命を懸けています。(どこかでまたnoteにします。)

【資料作成の流れ】

  1. 資料の全体のすり合わせ(口頭)

  2. キーメッセージの作成・資料の方向性のすり合わせ(Word)

  3. 資料の詳細な内容のすり合わせ(Word)

  4. PPTに起こす際の構造すり合わせ(Word)
    →過去PPTの引用や紙に書いた絵ですり合わせ

  5. PPTに落とし込む(PPT)

  6. シニアコンサルタントによるPPTレビュー

  7. マネージャーによるPPTレビュー

  8. パートナーによるPPTレビュー

これらの理由から戦略案件は迅速な対応と高品質な成果物を目的に密にコミュニケーションを取ります。

では、1日の流れを見ていきましょう。

一日の流れ

朝一のタッチポイント

まず朝イチにMup(マネージャー以上:マネージャー・シニアマネージャー・ディレクター・パートナー)とのタッチポイントがあります。
その会議では、昨日の進捗とその日の予定等の確認をしたうえで、成果物のレビューに入ります。どこに自分の会社としての価値を出せているかを意識した細かい確認が行われます。高い金額を受注しているので、中途半端などこの誰が作っても一緒の資料は意味がないからです。

朝のTPを踏まえた作業

朝一のタッチポイントの後は、朝のレビューで受けた内容の更新・修正に入ります。お昼過ぎにはまたタッチポイントがあるため、そこまでに修正する必要があります。
ここで資料の更新できていないと、一発で仕事が遅い認定をされます。
加えて、修正だけではなく次のタスクに取り掛かります。他の資料作成に向けてシニアコンサルタントとのすり合わせをしたうえでタスクのスケジュールを立てます。

栄養摂取という名のお昼

お昼…私は戦略案件にいたときにお昼を取った記憶はあまりないです。正確にはお昼休憩ですが。時間がないため、デスクでおにぎり・サンドイッチ・プロテインバーなどを食べることが多いです。ちなみに咀嚼している間もPCで作業を進めます。

何より大事なクライアント会議

お昼の後はクライアント会議です。別の人が進めているタスクに関する会議でも議事録の作成や、それを踏まえた次のタスクが自分に振られる可能性もあるため、出席の上メモ等を作成します。クライアントにもよりますが、15分の短い会議もあれば、議論を目的とした2時間超の会議もざらにあります。

議事録作成

会議の後は議事録作成です。各プロジェクトによって議事録の目的や記載内容は異なります。例えば、会議に出席できなかった方用の議事録か、クライアントの役員陣がプロジェクトの進捗を確認するための議事録かで大きくニュアンスが異なります。そのあたりを意識して議事録を作成します。
ちなみに、「議事録作成の時間は会議の時間よりも短く」がコンサルの鉄則です。もちろん定例報告などの議論内容が少ない会議と今後の方向性を決める議論内容が多い会議で、多少の時間の差異は出ますが、それでも会議時間よりも長くなってはいけません。

午後のタッチポイント

さあ、議事録を作成し終わったタイミングで、午後のタッチポイントです。
午前中に更新した資料のレビューや、先ほどの会議を踏まえた今後のタスクや方向性の議論をします。この段階で、先ほどの会議内容が構造化して理解できていないと詰みます。先ほどの会議を踏まえ、「うちとしてはこういう方向性で進めると過去知見を活かすことが出来、価値につながるのでは?」という仮説を立てて臨みます。この仮説を立てるところまでいかないと、コンサルタントとしての価値は出ません。

シニアコンサルタントによる資料レビュー

会議を終えると、議事録・作成した資料のレビューです。
会社としての価値は出せているか、内容に認識相違はないか、構造化がされているか等をレビューされます。
特に議事録においては、ただの逐語録(会話をただ文字に起こした記録)では、無意味です。端的にまとめてあり、構造化された議事録かどうかをレビューされます。

魔のパートナータッチポイント

次にパートナーとのタッチポイントです。
Mupとのタッチポイントの中でも、一番ピリピリします。マネージャーに見ていただいた資料をここで最終的にレビューされます。ここで「No」が出れば、やり直しです。クライアントの特性や、過去案件の実績、うちの会社の価値が出せているか、次の提案につながるかなどの複数の観点でレビューが入ります。
パートナーというと、役員レベルなので「現場のことを、そこまで深く理解しているのかなあ」なんて思ってしまいますが、かなり理解されています。今何が論点になっているのかを瞬時に判断し、的確なレビューが入ります…流石パートナーと何度も思いました。

パートナーレビューを踏まえた資料の作成・更新

パートナーレビューを踏まえて、資料の更新や修正に入ります。
マネージャー等のレビューが入っているので、ここでは本当に微修正か、大きく方針転換の2択です。
少しの修正ならすぐ対応できますが、大きな方針転換が発生した場合はシニアの方と認識をすり合わせて作業を進めます。

束の間の休息

だいたいこのタイミングで日は暮れているのでコンビニに行って一息つきます…「今日は何時に帰れるかなあ」なんて話を同僚としながら、戦々恐々とオフィスに戻ります。

なんとか帰宅

毎日23時頃にそろそろ帰るかと重い腰を上げます。
大体この段階で、オフィスには戦略案件に従事している人しか残っていません。帰りの電車では飲み会帰りのサラリーマンが多く、何とも言えない感情になります。
帰宅後に作業することもあれば、翌日の自分や土日に託すことがあります。

全体的にキラキラしているイメージの戦略コンサルタントですが、実情はこんな感じです。おそらくコンサルティングファームの中でもかなり、泥臭い仕事をしている領域だと思います。
学生が戦略コンサルタントを目指すのも理解できますが、名前に踊らされずしっかり考えたうえで選択することをお勧めします。


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