はじめの挨拶

『獣医』という職業が果たしてあたしの天職かはわかりません。 違うかもしれないし、そうかもしれないし… それはたぶん、あたしが人生の終わりに、いや言い過ぎか。 仕事を辞めようと思った時に思うことかもしれない。 でも、少なくとも今、獣医じゃなくてよかったと思ったことは不思議とないのです。 毎日が正直嫌でも、イライラしても、お給料が見合わなくても、嫌なことのほうが多くても、なぜか嫌いではないようです。 そんなあたしが獣医師の日々や病気のことなどなどを自己満で書いていこう

My sweety

日を向く太陽

あたしは人間になりたい。 こんなにも何かを強く望んだことはない。 なぜなら、望むことを許されていると思っていなかったから。 だってあたしたちはただ生まれて、なにも思わず、考えず、切なく儚くひと時のその一瞬のために散っていくだけなのだから。 あたしは他のみんなよりも小さかった。 貧弱で、醜くて、誰かの目に留まることはないと思っていた。 周りのみんなが、こっちをみてとユラユラ揺れて、綺麗だねと言われクスクス照れくさそうに笑うなか、あたしはキラキラしたみんなの足元で、頭

Promise

Kiss me

“はな”というけむくじゃらがあたしを救う

これを受け取れば、何かが変わると思った。 気づいた時にはなりたかったこの職業は、この薄っぺらい紙一枚で今日からあたしは『先生』と呼ばれる。 診察台の上にいる毛むくじゃらの生き物たちに、思っていた以上に愛情というものを抱かないことにあたしはびっくりして、憧れ、時間とお金をかけて手にした夢だった職業が一気に色あせたのを覚えている。 あたしの前で、けむくじゃらの生き物を家族だと、愛していると泣く飼い主に、神妙な顔をして答えるあたしの心に、共感という2文字はなかった。 それは

心をもらうということ

あなたに会いたい あなたに触れたい あなたと話したい あなたの思考を知りたい あなたの世界を覗きたい あなたのすべてをわかりたい あたしを見て あたしを触って あたしと話して あたしの思考を知って あたしの世界を覗いて あたしのすべてをわかって あなたの心を あたしの心を ほしい あげたい それが愛だというのなら