散歩旅の事業を始めます〜どこからでも、生々しい加賀と出会えるようにと願いを込めて〜
「九谷焼で事業を始める」と宣言したのが、もう2ヶ月も前の話。
九谷焼の事業から、一旦方向転換をし、「散歩旅」の事業(後述)を進めていくことにした。
(※事業内容に関して知りたい方は、「散歩旅」とは何か の章をお読みください。)
心の梅雨
「自燈明」
故 瀧本哲史先生の『2020年6月30日にまたここで会おう』という本の中にあった言葉。
「自ら、明かりを燈せ」というメッセージ。
僕は、九谷焼で、この世界に、己の力で明かりを燈すことができるのだろうか。
何度も悩んで、どういう形で行っていくのがいいだろうか、考えた。
しかし、結局この領域で、今の自分が発揮できる価値が見えなかった。
そんなことを悩みながら、1ヶ月半くらい沈んでいた。
外のどんよりとした梅雨の天気が、心の中を映したようで、それもまた心が沈む方へと拍車をかけた。
梅雨明けへと向かう葛藤
どんよりとした心で、何度も問い直す。
「なぜ、加賀に来たのか?」
「加賀がどうなっていたら嬉しいのか?」
「自分のビジョンは何だったのか?」
「元々、加賀に眠るたくさんの資源を、掘り起こして編集して、それを外の世界に開いていきたいと思っていたんだよな。」
「その一つの手段が、語り部の事業だったんだよな。」
世間はGo To トラベルキャンペーンで盛り上がっていて、もういっそ僕だって語り部の事業を再開してもいいのではないだろうか。
そんなことを思い始めたりしていた。
小規模のお客さんならいいんじゃないだろうか。
近隣の方々ならいいんじゃないだろうか。
マスクとアルコール消毒してたら、大丈夫じゃないだろうか。
そんな風に、自分の都合のいい方に思考が流れていく。
なんとか正当化しようと、必死に頭を働かせていた。
さあ、梅雨明けだ
主軸となる事業には、想いを注ぎ込みたい。
自分が確かだと信じられる方向にへ、歩みを進めていきたい。
「事業とは、仮説検証だ」
僕の机の前に貼ってある言葉。
僕が事業を作っていく時に、大切にしたいこと。
まだ誰も答えを知らない領域で、自分の思想や世界観を実装する時、それは自らが立てた仮説に対して検証をしていくということに他ならない。
九谷焼の事業を始めようと思った時、確信を持ち切れなかった。
自分が信じる道に対しての確信を。
元々、語り部の事業を始めたくてこちらに来ているのだ。
だからこそ、自分はそこで勝負するべきではないのか。
日に日に、そう思うようになって。
しかし、実際に人が来るとなると、まだ抵抗感のある地域の人は多い。
Go To トラベルキャンペーンで、人が来ているとはいえ。
であれば、今のタイミングで始められることは何だろう。
と考えた末に、行き着いたのが、今回の「散歩旅」の事業だった。
「散歩旅」とは何か
「散歩旅」とは、オンラインツールを用いながら、街をお散歩をすること。
文字通りだろう。
既存の観光とはまた異なる。
パッケージの決まったツアーでもなく、案内してくれる人がいるガイドでもなく、主体は参加者だ。
そして、街の価値を再発掘するのもまた、参加者だ。
街の人は、参加者とお話をしながら歩くだけに過ぎない。
あなたが歩きたい方向へと進んでいけるのだ。
これは、まさに「お散歩」だろう。
そして、その道中、店に入ることも可能だ。
店に入って、見たい商品を見ながら、欲しいものを買うことだってできる。
どこにいたって街歩きができるのだ。
観光の下見にも、コロナ禍の観光やお散歩にも使える。
手順を説明する。
やり方は、以下の通りだ。
できるだけ、簡素にしてみた。
Google mapで、歩いている現地の人の位置情報を共有する。
位置情報を確認しながら、お散歩している画面を楽しみながら、
「曲がって欲しい」
「戻って欲しい」
「この店に入って欲しい」
「立ち止まって欲しい」
など、様々なリクエストが可能だ。
できる限り要望に応えながら、OnlineとOfflineが溶け合うような形にしていきたい。
「散歩旅」の背景と想い
僕が元々やりたかった語り部の事業。
それは、地域の人が、地域を案内しながら、その街の歴史や文化、精神性などを紹介するような事業のことだ。
ガイド事業に近いのだが、単なる観光地への案内ではなく、有名なところを見るのでもなく、そして決められたルートを辿るのではなく、その人、時に応じた案内場所を決めながら、語っていくことだ。
既存の観光ツアーのようなパッケージというよりも、むしろその都度都度自分の引き出しを最大限に活用しながら、地域を紹介していく感覚だ。
そんなことを考えた時に、ふと「ブラタモリ」という番組を思い出す。
ブラタモリは、タモリさんがかなりディープなまちの歴史や文化などを、歩きながら紹介したり、まちの人や専門家に尋ねる番組だ。
僕がやろうとしていた語り部の事業は、これに近い。
「語り部」という名の通り、その街のことを語れる人がいて、その人が聞かれたことに答えていったり、ふと街の話をしたりする。
これは、既存のガイドとは異なり、オーダーメイドで、その都度都度場所を選んで案内するような形をイメージしていた。
そうやって、加賀に移住して一年近くで、のべ50人近くを案内してきた。
(山中温泉を案内した際の写真)
ただ、このご時世、旅に出たくても出られない人だっている。
会社に勤めていると、県外への移動を会社側から制限していたりするところもあるらしい。
COVID-19が蔓延してから、Google mapのストリートビューで旅行をする人が増えたという話を聞く。
僕もしたことがあるし、周りでもちらほらそんな話を聞く。
ある方は、自分の親御さんが、自分と一緒に行った街をストリートビューで旅しながら、思い出に浸っていたそうだ。
(今回の散歩旅の山代温泉のスタート予定地点)
Online vs Offlineなのか?
先ほど挙げた問いに対して、OMOという考え方がある。
これは、「Online Merges with Offline」のことで、オンラインとオフラインの融合を目指すものだ。
ここが溶け合えば、きっとどこにいたって加賀と繋がることができるのだと信じている。
観光というのはナマモノだ。
そのタイミングだからこそ感じられることがあって、体験できることがある。
だからこそ、みんな観光に行くのだろう。
決まりきったものは、動画を見ればいい。
僕がやりたいことは、予定調和じゃない。
みんなと共に感じる不確実さだ。
だからこそ、決まりきったものを提供するのではなく、その場その場で変化するものを、うにょっと楽しみたい。
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