児童養護施設でヘアカット~第7回~
ども、イシちゃんです。
毎月訪問させていただいている慈愛園での子どもたちのカットを通して、今月は子どもたちの成長と、卒園という節目に感じたことを、2つのエピソードからお伝えします。
1. 子どもたちの笑顔
慈愛園さんに通い始めて半年になりますが、子ども達もすっかり顔見知りになり、今では顔を見るとすぐに、笑顔で迎えてくれるアメちゃんの催促をするようになりました。(笑)
子どもたちにはカットの時間を楽しんでもらいたいので、基本的にはフリースタイルでカットします。
中には、椅子に立って切りたがる子もいます。「椅子の上に立ってカットなんて危なくないかな?」と最初は躊躇しましたが、子どもって大人が思っているよりも「何が危なくて、どうすれば大丈夫か」を分かってたりするんですよね。
この子も座ってる時は落ち着かないんですけど、立ってる間は「落ちたらキケン」が分かっているからいつになくジッとしてカットさせてくれました。
2. 立派な成長
そして、今日は凄く嬉しいことが…
第1回の訪問でヘアカットできなかった子がヘアカットできた
ということです。
初めて訪問した時に比較的重めの児発支援を受けている子がいたと書きましたが、その時はヘアカットができる状態ではありませんでした。
療育カットってこの段階にくるまでに時間がかかることはよくあることですが、慈愛園さんには基本的に月イチの訪問なので、一番時間がかかったかもしれません。
それだけに、ようやくこの段階に上がれたというのはとても嬉しいですね。
とはいえ、療育カットは油断禁物!
どこで、スイッチが入るか分からないので、1つ1つ丁寧に説明しながら、これから何をして、どんなことをされるのか、彼の理解を得ながら進めていきました。
その甲斐あって…というよりも、スタッフさんの日頃の汗の滲む努力の成果によって、今回の彼のヘアカットは難なく終わることができました。
実は、これもまた児童養護施設の現状でもあります。
僕の子供達が通う小学校でも支援学級に入る児童は僕が小学校の頃と比べても増えている実感があります。
なので、児童養護施設に入所する子の中にもこうした子がいてもおかしくありません。
そういう背景もあって、今回その中でも比較的状態の重い子が「カットができた」というのは小さくても大きな成長なんですね。
毎日生活を共にするスタッフさんにとっては、感じにくい成長かもしれないですけど、月イチくらいの間隔で会う僕にとっては立派な成長のように感じます。
もちろん、カットの後にはお決まりの【アメちゃん】が待ってるわけですが、カットが終わってスタッフさんに言わされたモジモジとした「ありがとう」よりも、アメちゃん貰って嬉しかった勢いで
「ありがとう!!!!!」
の大きな声を聴いた時には、思わず笑いが出ました(笑)
「ありがとう」が言えない子は、「ありがとう」が【言えない】じゃなくて、きっと
「ありがとう」って心から思えば自然と湧いて言葉に出てしまうもの
なんでしょうね。
そういうことも子供達との交流の中から感じ、学べるんですから、価値のある時間を頂いてるんだなぁとつくづく思います。
3. 卒園という節目
学校や幼稚園で卒業・卒園シーズンということは、児童養護施設もまた【卒園】の時期でもあるということです。
高校を卒業した子は今月いっぱいで退所します。兄弟・姉妹で入所している子もいるので、そういう子はお兄ちゃん、お姉ちゃんが先に出ていくんですね。
今日カットした子の中にもそんな兄弟がいて、弟君がその寂しさを口にしていましたので、今月高校を卒業し月末には会社の寮に引っ越す長男の話を例に「いつかは家を出るのはどこにいても同じなんだよ」という話をすると、「それもそっか!」と気を持ち直してくれました。
この辺の事情は施設ごとで異なるでしょうから一概には言えませんけど、今の時代スマホもありますし、子どもたちにとっては「施設」でありながら「家」と感じている子も少なくありません。
フラッと「帰ってくる」子もいるでしょうし、そうした時に会えるし、スマホで連絡を取り合えばいつでもどこでも会えるんですよね。
とはいえ、「家を出る」ってことは送りだす方も、残る方も、旅立つ方もみんなちょっぴり寂しいもんですね。
彼には我が家を例に話しましたが、僕も男同士とはいえ、19年共に歩いてきた長男が「家を出る」日がこんなに早く来るなんて思ってもいませんでしたから…
そういう点では残る子達とも共感できる部分があるなぁと思いつつ、「共感」できるってことは施設だろうと実家庭だろうと「本質的」な部分でもあると思います。
だからこそ、フォローできるし、しやすい部分でもあるんだろうなぁと改めて実感しました。
4.さいごに
やってることは「ヘアカット」なんだけど、ちょっとでもそんな寂しさの穴を埋めるお手伝いにもなれていたら良いなぁと今回は感じました。
来月は入学前、新学期前で、慈愛園さんとひばりが丘学園さんの2カ所を訪問する予定です。
そして、1月に書いたように今年は以前から温めてきた「ある企画」を実行に移すためにいよいよ本格的に始動できる段階に近づいてきました。
これが実現できれば、また1つ地域社会の子供たちが明るく笑顔になれると思いますので、楽しみにお待ちください。
よろしければサポートをお願いします あなたから頂いたサポートは今後のより善い記事の取材のために有効に活用させて頂きます