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マスターテクストの作成法・制作法

1.2つのマスターテクスト
(1)教材としてのマスターテクスト
(2)学習者の自分の声としてのナラティブ(マスターテクスト)

2.学習者の自分の声としてのナラティブ(ライフストーリーインタビューとナラティブ制作の活動)
・簡単に言うと、日本語活動しているボランティアは、(入門は別にして)日本語を教えようなんてしないで、ライフストーリーインタビューをすればいい。
・そのような形で、学習者の声を引き出して、それをしっかりと受け取る。そして、それをその本人が自身の声として発することができるように、その人がわかって覚えられる日本語のナラティブとしてまとめあげる。

3.教材としてのマスターテクストの制作
3−1 基礎編
・NEJ指導参考書の第6章に書いてあるとおりです。
・ここでは、「プロトタイプ的な人物をできるだけ具体的に設定して」と「ユニット間で事実関係のそごがないように」とだけ注意している。
・看護候補者の「フィタさん」を例とした、p.86(ユニット8 わたしの家族)、p.87(ユニット15 わたしの将来)は、いい例になると思います。(布尾くんにも見てもらった!)
※この作業を学習言語事項を「適度に」意識しながら行わなければならない。

3-2 発展編
・基礎編は語学素材の域を出ていない。
・発展では、(1)キャラを立たせること、(2)全体として小説的な?モチーフがあること。
・NEJでは、キャラとしては、リさんは「中国系のマレーシア人で、優等生」、あきおさんは「理系の学生だが山の会の部長でリーダーシップがある。彼女ももちろんいる」というキャラ。
・そして、小説的なモチーフとしては、(a)リさんとあきおさんの関係はどうなるのだろう。あきおさんの現在の彼女と三角関係?、(b)リさんはユニット11で「生活がしんどい」とちょっと弱音を吐き、supplementary unitでいよいよ「悩み」、あきおさんの山の会に入会することになる。(c)リさんの「その後」はNIJの会話で続く。(d)NIJの会話では、ユニット7で出会った中田くんとリさんの12回、24の会話となる。
・小説的なモチーフまでは必要ないと思うが、キャラを立てるというのはぜひ!です。
※この作業を学習言語事項を「たくらみ」ながら行わなければならない。

4.マスターテクストを作成する技量
・基本的な技量は「ものを語る」・「ものを書く」技量です。日本語の先生は、自分たちは「ものを語ったり」「ものを書いたり」する立場ではなく、日本語という素材を教える・わからせる立場だと思っているので、この基本的技量がある人はひじょうに少ない。また、その方向で、自分を伸ばそうという姿勢もない。
・次に必要なのは、はやり、作家さん的な技量。NEJを制作するときには、まずは全体の構想を練った。これにすごく時間がかかっている。

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