初めての夏

涙もいい加減干からびて、渇いたアスファルトの向こうには夏が来る。
甘い香りに身を委ね、私は、気づけばここまで歩いていた。

太平洋に打ち落とされて、ゆらゆら揺れる空をたしかに感じながら、それでも何もせず、何も考えられなかった。
烈火の如く燃え盛る炎を背にしても、なんとか這いつくばって、外れた歯車を戻そうとしていた。

だけど仄かに鼻をかすめたような気がして、思わず振り返った。

本当は、誰の気持ちだってわかりたかったんだ。

(2019/6/13 文:ケビン)

(6/15 タイトル変更しました。)

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