2023年の映画ベスト10

2023年に鑑賞した映画のベスト10です。良かったら皆さんの鑑賞のご参考に。今年も沢山映画見るぞ〜

1.宇宙探索編集部
フェイクドキュメンタリーのB級SF映画化と思ったら、全然違っていた。映画の根底には〝詩〟と〝言葉〟があり、あまりの不器用さと無垢さゆえに、「そうすることしかできない人間」の悲哀と救いが描かれていた。ラストシーン、久しぶりに滝のような涙を流したわ。

2.枯れ葉
引退宣言を取り消したカウリスマキの新作。ありがとう。
「無意味で馬鹿げた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類の未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました」
――カウリスマキからのメッセージの引用

3.逃げきれた夢
日本映画の未来を担う存在だと、僕が勝手に思っている二ノ宮監督。商業映画の場で、過去作よりも尖った映画を作ったことが凄いし、不穏な空気感がたまらなく好き。誰かと対話することは、自己との対話も含むのだなと思った。

4.リバー、流れないでよ
大林宣彦監督亡き現代で、自分が求めていた作品を見事作ってくれたヨーロッパ企画に拍手を送りたい。こんなにも創意工夫に満ちた映画、初めて観た。インディーズ映画の大傑作だと思う。

5.Pearl/パール
主人公パールの最後の独白がヤバすぎて目が離せなかった。狂気ということでは一括りにできない。映画史の暗部から現代に通じる要素を抽出しつつ、ジャンル映画への愛もしっかりと盛り込んでいて、単なるホラー映画として終わらない強度を持った作品になっていると思う。

6.ファースト・カウ
差別が蔓延る社会で生きることが出来ない人間はどうすればいいのだろうか。なにもなすことが出来ずに死んでいくだけなのか。それは違う。どんなに長い時間が経過しても、生きづらさを抱えた人間が残したものを拾い、新たな作品を作る人が現れる。というケリー・ライカート監督の言葉が聞こえた気がした。

7.アフターサン
親が考えていたことや抱えていた苦悩は、大人になって初めてその一端に触れることができるのだろう。断片的な記憶を縫い合わせて、自分と親が重なる部分を見出して、その背景には音楽があって。それって人生であり、映画そのものじゃん。

8.ザ・ホエール
僕は〝書く〟ということがテーマになっている映画にめっぽう弱い。正直であることはとても難しいのだけど、正直であろうという気持ちは忘れないようにしたい。「I Hate Everyone!」にぐっときたよ、ほんと。

9.アステロイドシティ
ウェス・アンダーソンの映画をベスト10にいれるの、なんとなく恥ずかしいのだけど。自分としてはあのルックは正直どうでもよくて、毎回複雑なメタフィクションを入れてくるところが好き。そしてそれが監督自身の物語論として浮かび上がってくるところも。

10.福田村事件
同時期に村山由佳の『風よあらしよ』を読んでいて、『バービー』も観て、あまりに現代と地続きであることに驚愕。※『風よあらしよ』は関東大震災後に若くして殺された伊藤野枝の評伝小説
自分とは真逆の人間を演じきった水道橋博士がマジで凄かった。

次点 レッド・ロケット
主人公があまりにダメなクズ野郎だけど、映画の中だったらちょっとだけ好きになれるんだよね。

特別枠 ブリュッセル1080、コルメス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン
シャンタル・アケルマンの映画は初めて観たのだけど、「こんな映画見たこと無い!」という驚きで198分があっという間に過ぎていった。

今年は映画についての記事も書くようにしたいと思っています。
チェックしてもらえると嬉しいです。


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