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【書評】山本康正、ジェリー・チー『お金の未来』--国家から個人を守りたい

 ビットコインとかブロックチェーンとか最近よく聞くけど、なんだかよくわからない。というわけでちょっと読んでみた。
 感想としては、その裏側にある思想が面白い。たとえば法定通貨である。これを国家は急に無価値にできるし、銀行口座を凍結したりも思いのままだ。ならばそうしたお金は本当に自分のものだと言えるのか。
 ここからビットコインといった仮想通貨の発想が出てくる。ビットコインの価値を保証するのはブロックチェーンという数学的なシステムで国家ではないだ。から国家が何をどうしようとも、個人から仮想通貨を奪うことができない。
 ここには、いざというとき国家は信用できない、といういかにもアメリカ的な個人主義が顔を出している。ただし、国家が信用できないからと言って、それではテクノロジーは本当に信用できるのだろうか。
 たとえば、僕はGAFAを頭から信用する気にはなかなかなれない。もちろんとても便利なサービスを生み出して我々の生活を大幅に改善しているのは確かだが。
 しかしながらこういったカリフォルニアっぽい、極端なテクノ個人主義という思想には興味がある。もっとも、ビットコインを買う気には当面ならないだろうけどね。

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