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【書評】山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』--なんでウーバーに乗れないの

 数年前、まだコロナが流行る直前にニューヨークに行ったとき驚いたのは ウーバーだった。と言っても、今は東京でよく見かけるウーバーイーツのことではない。ウーバーの本業と言っていい配車サービスのことである。
 どこにいてもアプリ一つで車がやってくる。しかも運転手も車も全く普通で飾り気がない。料金は安く、クレジットカード決済なので、ボラれたりする可能性がない。
 そもそも運転手とは言葉を交わす必要すらない。僕が乗ったウーバーの車を運転していたのは韓国人の聾唖の若者で、こうした人が本当に普通に働けるというのは地味に凄いことだと思った。
 さてこの『2025年を制覇する破壊的企業』を読むと、そのウーバーすら過去のものになりかねないとわかる。
 自動運転が普及して、ロボットタクシーが走り回る世界が来るとしよう。ならばそもそも、運転手が必要なウーバーは過去のものとなってしまう。
 しかも実際に社会に必要な車の量は現在の1/20なので、車の生産量も劇的に落ちると言う。
 あまりに激しい革命的な話だが、 Google や Amazon などの例を考えれば、こうした変化は普通のものであることがよくわかる。
 こういう本を読むと、日本の現状について考えてしまう。椿進『超加速経済アフリカ』でも扱われていたが、今やウーバーの配車サービスはアフリカも含めた世界の様子を変えてしまっている。
 だが日本ではウーバーのサービスそのものを行うことができない。そして世界がウーバーの次にまで行ってしまえば、日本は何重にも遅れていくだけだ。

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