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革命を起こしそうな電子皮膚開発に成功

以前に、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の最難関「香り」を解明しつつある、という話をしました。

ただ、一度解析が完了するとそれを再現するのは最難関ではなくなります。

再現する、という意味で現時点での最難関は「触覚」かもしれません。
相対的に内外との物理的やりとりの質と量が多そうだからです。
例えば人間と握手をするだけでも相当なパターンがありそうです。

そのインターフェースを担う「皮膚」ですが、デジタルで再現する「電子皮膚」の開発が一歩進みました。

ようは、
実験動物の脳信号を学習することで高い再現性を備えた電子的な皮膚の開発に成功した、
という話です。

電子皮膚の再現性ポイントはざっくり2つかなと思います。
・触った感覚が皮膚に近い
・脳と適格な電気信号をやりとりする

従来から疑似的な皮膚の再現は試みてきたようですが、なかなか実用面では義肢を中断することがあったそうです。
その中の1つが、やはりフィードバック性の欠如、です。その比較を行った研究を紹介しておきます。

まさに今回の電子皮膚のこだわりポイントはそのフィードバック性です。

皮膚で検知する物理量は「圧力、緊張、温度、振動」の4種類と考えられており、今回は圧力と温度のセンサーを内蔵しています。

手法は、実験動物(ラット)の脳にセンサーを埋め込んで、外界とのフィードバックを丹念に学習して再現した、ということです。

驚いたのが、どうしてもデジタルな疑似パーツは、大げさな機械になりがちです。例えば、2022年に発表された、第6の手の例を引用しておきます。(厳密には身体代替でなく、身体拡張)

これでも十分コンパクトな印象がありますが、日常生活においてはやはり着脱や充電等でハードルはありそうです。
私自身は特に、バンドやリング型のIoTでさえ、正直煩わしく感じて過去何度も挫折したこともありました。

といった不満の解消にもつながるかもしれません。

今回開発したデバイスは、さながら絆創膏のように薄く引き伸ばして張り付けることが出来ます。
充電についても、「ほとんど電力を消費しない」とあるので、これが事実だとしたらもはや改善というよりは革命かもしれません。

どういった仕組みで電子皮膚のエネルギーを補給するのかがとても興味があります。例えば以前にシンガポールの大学で汗をエネルギー源にする、という発表があったのでそのあたりの応用かな?と想像します。

最後にもう少し未来の話を。

触覚は、単に物理的性質を脳に送ってその指示を受ける(一部は脊髄で反射)というある意味無機的な役割だけでなく、感情にも繋がってきます。

つまり、話を大きくすると、身体性を備えた知能マシン、つまりロボット(人間の見た目だとアンドロイド)に感情っぽいものを実装させる手段としても期待が出来そうです。

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