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医療イノベーションと2023年ハイライト

「最新テクノロジーの人類への貢献」というマクロなテーマで分かりやすいが医療の進歩ではないかと思います。

あるメディアで2023年注目のハイライト特集があったので紹介してみます。

このメディアでは毎年ブレークスルーオブザイヤーを表彰しており、2023年は「医療イノベーション」でした。

タイトル画像は、脊髄損傷で麻痺症状のある男性が歩行を可能にする様子を撮影したものです。
どう解決したかといえば、皮質活動を記録しそれをもとに足の動きを制御する脊髄部を電気的に刺激するシステムです。
つまり、脳と各運動個所とのやりとりを人工的に代替した、いわゆる「ブレインマシンコンピュータ」と呼ばれる分野です。
詳細は過去に書いた記事を載せておきます。

冒頭記事では、2023年でイノベーションが進んだ他のトピックを3つ紹介しています。

1.PET(Positron Emission Tomography:(陽電子放出断層撮影))の進化

ある程度大規模な病院ならPETと呼ばれるスキャナーを備えています。
ざっくりいえば、ガン細胞が活動するために必要なブドウ糖を与えてその動きをスキャンすることでガンかどうかを探る装置です。
1つ紹介記事を載せておきます。

進歩があったのが、おおきく3つのアプローチです。

1つは、1回のスキャンで得られる画像から複数の情報が取得できる方法で、記事内では詳細まで書かれてませんがデータ解析の進展のようです。

2つ目は測定機器の革新。現状は横になってしばらくじっとしている必要があります。そこそこ大規模な空間が必要です。
今開発中なのは、さながら空港での探知機のようなウォークスルー型で、コンパクトになるだけでなく安価で迅速に使用することができるようです。

3つ目は、免疫機能を持つT細胞の体内分布をスキャンすることを可能にしました。従来はがん細胞の探知だったものが、悪者を退治するヒーローまで探せるようになるということです。
T細胞自体の説明は、過去記事に触れたので載せておきます。


2.放射線治療

PETやCTとこんがらがちですが、スキャンするときによく使われるのがMRIです。
磁気情報から間接的に体内の挙動を見ることができます。

上記記事にもありますが、MRIで使うのは磁気と電波なので放射線を当てる必要がありません。

スキャンを通じてガン細胞がみつかったときの治療で、摘出手術・薬物にならんで放射線治療というものがあります。

2023年に進歩があったのは、この放射線量を適切に決められる(他の健康な臓器を傷つけない)方法をMRIで編み出したことです。

もう1つが、直立して座った状態で放射線治療が実現できる仕組みで、フランスの病院では設置済みで、米国でも当局に申請中とのこと。こちらは近い未来に多くの国で実現できそうな勢いです。

PET同様、仰向けに長時間じっとしていなければいけないという常識が変わっていきそうです。

3.ウェアラブルの脅威

こちらは、まず画像から見ていただきたいです。

冒頭記事内の図

持っているのは「電子タトゥー」とも比喩される心臓モニタリングデバイス(開発中)です。
心血管疾患のような治療だけでなく、アスリートのトレーニングにも活用できる可能性があるようです。これはぜひ実用化してほしいですね。

他にも皮膚を引っ掻く強さを計測、乳がんの早期発見を可能にする小型超音波スキャナ、脳の電気活動を測るイヤホン型バイオセンサーといった装着型の紹介がありました。

そしてなんと上述のMRIも、ベストのように着用できるタイプが設計されています。

いずれはスキャンのために特別な部屋すらいらなくなる未来が到来するのも夢ではありません。


今年も最新科学技術が医学のイノベーションをさらに推し進めることを心から願っています。

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