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一杯の水と広大な宇宙に潜む共通の謎

訳の分からないタイトルになりましたが、実はつながってるよ、という記事をみかけました。(タイトル画像も下記記事内の図より引用)

ようは、
水の粘度を探ることで、宇宙を構成する基本定数に派生するかもしれない、
という話です。

全くピンとこないと思います。

まず、水など液体には「粘りけ(粘度)」があります。濃厚な豚骨ラーメンになるとスープがドロっとしてますね。

一見わかりやすい物理現象である「粘りけ」を、理論でどう表現するのかが長年の課題で、今回と同じ研究グループが2020年に興味深い仮説を提示しました。

ようは、
粘りけの基本数値は「プランク定数」と「陽子対電子質量比」に関連している、
という話です。

プランク定数とは、発見者の名前からとっており、それ以上物質を分けられない最小の定数として知られていました。ミクロな世界にのみ通じる量子力学ではおなじみの定数です。言い換えると日常では登場しない用語です。
そしてもう1つも、意味合いは分かりやすいですが、なぜ日常の粘りけにこんな定数が登場するの?と感じると思います。

それについては、こちらの記事でもう少し詳しくかかれていました。(上記記事ではそこまで言及してません)

ようは、
水に溶解した帯電ポリマー溶液の粘度が量子効果の影響を受ける、
という話(仮説)です。

ポリマーとは重合体ともいわれ、反復構造を持った高分子の総称です。

これが電気的に偏りを持つと、ポリマー同士の反発で、それが溶けた水溶液が粘度を増すことは以前から知られていたようです。

が、今回より解像度高く調べると、水分子とも相互作用していることが分かってきました。

元々水分子は特殊な構造を持っており、H-O-Hの並びは直線状でなくゆがんでいます。そして分子間の酸素原子と水素原子も水素結合と呼ばれる刹那的な結合力を備えています。
これ以上は、以前の関連記事に委ねておきます。

このあたりの力にどうも影響を与えているようだ、というのが差分です。

しかも、その力の原因が原子核の量子レベルにまで起因するという仮説です。つまり、量子論が要請する素粒子の存在確率分布でやっと導ける力ということです。

なぜこれが広大な宇宙に関係するかというと、どうも上記を計算するうえで使用する物理定数が少しでも崩れると粘度が大きく変わり、あたかも人工的に絶妙なチューニングが施されているかの如くです。

そして宇宙でも以前から同じことがささやかれています。

冒頭記事でも例示されているノーベル賞受賞者のスティーブン・ワインバーグは、水の粘度を計算することの難しさを、宇宙の構造を形作る定数を計算する問題に例えたそうです。

ワインバーグについては過去触れたので引用にとどめます。

宇宙の定数についてはまた別途触れるとして、ミクロに潜む絶妙な仕掛けが垣間見えた実験成果でした。

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