見出し画像

IUT(宇宙際タイヒミューラー理論)の近況(2024/3/29)

科学的か否かをテーマに、以前「IIT(統合情報理論)とIUT(宇宙際タイヒミューラー理論)」を取り上げました。

ようは、
いずれも科学的な議論に集中してほしい、
という話です。

科学的とかきましたが、細かく突っ込むとIUTは数学の理論であり、定義した公理をもとに論理的に完成されているかどうかなので、自然の実験による検証とは違います。自然でなく人工的(人が築いてきた数学基盤)な実験であるため、その厳密性の水準は高いものが求められると思います。

以前書いたとき、IUTの提唱者望月教授は、批判の論点がその前提となる数学基盤を理解していないものだ、と問題提起していました。

2024年になってやや動きがあったようです。望月教授の公式Blogを引用します。(2024/1投稿)

ようは、状況は変わっておらず数学の建設的な議論になっていない、ということのようです。

文中に、
「また新しい応用を見据えた、理論の3種類の新しいヴァージョンも数名の共同研究者とともに開発中」
とあるのが気になりました。

私自身はこの理論を追いかける数学的素養は乏しいので、あくまで何が進行しているのかを定点観察するしかできません。

ただ、数学の基礎理論が我々の生活に応用されることはままあります。
一番わかりやすい例は、インターネット通信での暗号化、つまりセキュリティで数学の楕円曲線が応用されています。1つだけ紹介サイトを。

ということで、自身でさらにIUTを発展させているというのは、素直にワクワクします。(もちろん応用のために開発しているわけではないと思いますが)

IUTは、どうしても批判側がめだちますが、IUTを支持している人がそれをアレンジ(不適格な表現かも・・・)した論文を発表したようです。

アリゾナ大准教授で数学者のKirti Joshiが、3月中旬に査読前投稿サイトにUploadしています。

「算術的タイヒミュラー空間」と銘打った、IUTの下地を踏まえて一部新しい理論を取り入れた論文のようです。雰囲気だけで恐縮ですが(難しすぎて理解は困難)、過去に望月教授が批判側から指摘された箇所を、こう変形した解決できるかもよ、という流れのようです。

この論文に対して3/24に望月教授は、自身の研究室サイトにReportとしてUpしています。こちらよりアクセスできます。

ざっと読む限り、この援護射撃に対しては、前提としての理解が足りていない、と否定的なトーンです。

なかにはAIのハルシネーション(理解しているようで錯覚している)を思い出してしまう、との表現もありました。引用しておきます。

(AI1) When browsing through Joshi’s series of preprints, i.e., whose content consists of a sort of rough concatenation of various “fragments” of interuniversal Teichm¨uller theory that is nonetheless devoid of any substantive mathematical understanding [cf. (ShtAns)], I could not help but be reminded of the so-called “hallucinations” produced by artificial intelligence algorithms, such as ChatGPT, i.e., which are synthesized precisely by means of various mechanically searched contextual concatenations that are entirely devoid of any genuine “human” understanding of the actual content of the text involved.

上記サイト

相当高度な数学理論を踏まえたやりとりだと思いますので、普通に介入することは難しいですが、今後も動きがあれば発信していきたいと思います。

ちなみに、本日3/29は望月教授の誕生日です。

お祝いとともに、今開発中の発展版についてのリリースの誕生も期待しています。

なかなか天才は世間に理解されるのが難しいと思いますが、一ファンとしては静かに見守り、心のエールを送り続けたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?