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ダークマター(暗黒物質)探求ものがたり#3

前回の続きです。

20世紀末までに、状況証拠が増えていき、なんとダークマターは宇宙初期から星・銀河を集積させる役割だったという説が固まってきます。

しかも、質量だけでいえば、「我々の知る物質の5倍以上」です。

ところが、そんなダークマターのさらに倍以上ものエネルギー(=質量)を持つ存在が登場します。(ドラゴンボール状態)

ダークな謎がさらに倍率ドン

その名も「ダークエネルギー」。宇宙全体に染みわたる謎の斥力です。ダークマターになぞらえて命名されました。

時代は1998年。超新星(安定的に光るため採用)を使って膨張率を測ると、ハッブルの時代よりもはるかに膨張の速度が大きくなっていることが判明します。
ちなみに、超新星以外にも距離を測る「物差し」はいくつかあり、過去にも触れたので関心のあるかたはそちらを。

よく言われる逸話ですが、アインシュタインは当初宇宙の膨張説は認めず、定常宇宙論を支持していました。

ところが、今の宇宙はマクロで見ると「引力しかない重力」に支配されています。ということは、もしかしたらそのまま放置すると宇宙はつぶれてしまいかねません。

ということで、アインシュタインは宇宙を安定させるため「宇宙項」と呼ぶ斥力に相当するものを式に追加しました。
が、ハッブルの観測で宇宙は膨張していることが分かり、この宇宙項を撤回します。

そのいわくつきの「宇宙項」が、ダークエネルギーの発見でアインシュタイン死後に復活を果たします。(同じような性質という意味で)

ということで、改めて現在の宇宙の物質比率です。(エネルギーは物質(質量)と等価です)

もはや我々の知る物質が例外的な存在に見えてしまいます。

このダークエネルギーの正体はまだ有効な説は出ていませんが、ダークマターと関係がある説も存在します。(後の回で紹介)

宇宙を構成するもの

これで大体宇宙を構成する物質(&エネルギー)構造が分かってきました。

今の宇宙論はこれらを基にした、「Λ-CDM(ラムダ・コールド・ダークマター)モデル」と呼ばれます。ラムダは宇宙項を指します。

ようは、今の宇宙論はダークマターが前提となっていることが分かります。言い方を変えると、ダークマターの解明が宇宙の解明につながるということです。

ダークマターは今でも宇宙での分布状況が調べられています。
例えば、ハワイにある日本のすばる望遠鏡も、そのミッションを背負って活動してきました。

次回からは、この正体が何なのか?についていくつかの有力仮説を紹介していきたいと思います。

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