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人工知能で宇宙を診る

話題に事欠かないAI(人工知能)ですが、個人・企業での活用だけでなく基礎科学にもインパクトを与えています。

「宇宙探査」もその1つです。

先日、新しい手法について書かれた記事が投稿されていたので、それらを元に人工知能による宇宙観測方法について紹介します。

宇宙を観測する望遠鏡にも、観測する場所として大まかに「宇宙空間」「地上」に大別できます。
何が大きく違うかというと、「大気」の存在です。これが邪魔なので宇宙望遠鏡を造った、と言っても過言ではないです。

上記で発明(厳密には改良)されたのは、地上からでもその大気の影響をうまく補正してくれるAIです。

出所:上記記事内の図(左上が元画像で、右下がAIによる補正画像)

こういったデータ解析技術は以前からはいくつかあり、代表的なものを1つ挙げると、デコンボリューションという手法です。ようは、本来は焦点にくるべき光以外の邪魔なもの(ピンボケの原因になるもの)を除去するための方法です。

言い方を変えると、コンボリューション(畳み込み)の逆(デは逆を表す接頭辞)で、フーリエ変換という数学の手法を駆使したものです。

今回は、新しく深層学習(ディープラーニング)を導入してこのデコンボリューションを事前学習ステップを挿入して改良しています。

宇宙からのデータに歪みがあると、(一般相対性理論に従った)重力による可能性もあります。つまり、まだ見つけられてない天体の可能性があるわけです。
それが大気によるピンボケかどうかが識別できなかったものが、今回のAIでよりクリアに見分けられる可能性を秘めています。

元々は宇宙望遠鏡からのデータ観測に、今回の手法は開発されていました。
ADMMNetと呼ばれており、今回はそれを基盤にしてあえて大気の影響を受けたような人工的にピンボケさせた画像をつくって事前学習させることによって地上望遠鏡に適用させたものです。
このあたりの手法(Plug&Play)は、こちらの論文で公開されています。

ということは、既に宇宙望遠鏡では実践されているということで、1つだけ関連記事を引用しておきます。

ようは、
木星の衛星エウロパ(水、そして生命があると期待されている天体)でのデータ探索として既にAIを使っている、
という話です。

このように、宇宙観測だけでなく、基礎科学には既に深層学習を使うことは珍しくなくなっています。

しかも、今回の話題のとおり、学習元データを人工的に加工することで他の用途にも応用が広がるという可能性も無視できません。

これからは人工知能が、産業だけでなく基礎科学の進化にも大きく貢献していくと思います。

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