ちかごろ、マイ生霊に救われた。

あ、スピリチュアルなアレではないですよ。僕、霊的なものは見えないですし。怖いですし。祟られるほど誰かに恨みもかってないですし（たぶん）。

まぁ長い話でもないので、聞いてください。

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僕は小さい頃から、「見守ってくれる存在がいる」という感覚がなかった。

親と一緒に暮らしていなかったことも影響してると思う。そんな「見守ってくれる存在の不在感」は、その後の人生にすくなからず影響したはずだ。

ひとことでいえば、寂しがり屋でビビりになった。あたらしい環境や人間関係に飛び込むことを、人一倍おそれるようになったのだ。

たぶん、見守ってくれる存在が当たり前に存在してた人にとって、それは酸素みたいに、意識にのぼることすらないのかもしれない。だけど、子どもは見守ってくれる存在がいるから、自転車に乗ることやはじめてのおつかいや、一人での旅行みたいに、不安なことにも飛び込んでいけるのだと思う。

それは、大人だっておなじだ。試験前とか、新しい仕事を始める前の日とか、大事なプレゼン前とか。そんな不安に押しつぶされて眠れない夜に、家族にしろパートナーにしろ死んだばあちゃんにしろ神様仏様にしろ、「見守ってくれる存在」を感じることができたら、どれだけ勇気をもらえるだろう。

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このまえ星野源のオールナイトニッポンで、「入院中のリスナーとつながる夜」っていう企画をやっていた。

たくさんの入院中の方からおたよりが届くなかに、今日から入院で、明日から抗がん剤の点滴が始まるという方からのものがあった。

「勇気をください。眠れなくて源さんのラジオを聴いています」

切実さが伝わってくる、その方の言葉。星野源さんは読み上げたあと、少し間を置いて、こう語りかけていた。

星野源さんの言葉を聞いて、ちょっと感動してしまった。

僕ももちろん、生き霊のひとりとして、入院中のこの方の治療がうまくいくことを想い、祈った。でも、それだけじゃなく、僕のうしろにもいる、何人もの生き霊のことが頭に浮かんだ。

もし僕が今日、仕事に向かう途中にトラックにはねられて、大怪我して入院、即手術！となったら。きっとあいつが心配してくれるな。あの人も、この人も心配してくれるな。

そう思える人の顔が、頭に浮かんだのだ。

僕には、そんなマイ生霊たちがいる！その存在に、どれだけ勇気をもらえることか。

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この前デンマークに行く機会があって、7,8年ぶりの10時間を超えるフライトの予定があった。パニック発作の経験がある僕にとって、長時間のフライトはとんでもない恐怖。なにしろ密室にずっと閉じ込められるわけじゃないですか。飛んでる最中に発作が起きたらどうしよう、とビクビクしてたわけです。

けど、いざ乗ってみればなにごともなく、無事到着。精神を落ち着かせる薬も飲んでたんだけど、それより効いたのは、「やばくなったらマイ生霊のことを思い浮かべる」ことだった。

マイ生霊は、死んだばあちゃんだったり、親友だったり、別れた恋人だったりした。彼ら・彼女らのことを思い浮かべたら、あらふしぎ。不安がすぅ〜、と消えていった。（あ、死んだばあちゃんは生霊じゃないか。ガチ霊でした）

本人には言ってないから、これを読んでるあなた、もしかしたら僕が勝手にあなたのことをマイ生霊にしてるかもしれません。すまんね。でもほんとうにありがとう。救われてるよ、まじで。

よかったら僕も、あなたのマイ生霊にどうですか？　落ち込んでるあなたの脳内で、「だいじょぶよ、俺もよわよわで、でも楽しく生きてるからさ！なんとかなるよ〜」って言います。けっこういい声で。わるくないでしょう？

（ちなみに星野源のオールナイトニッポン、spotifyで聴けます。今回紹介した話は1:12:30あたりから。）