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堺・思い出の味

生まれが大阪の堺という町で、今も実家があるので、子どもを連れてよく帰ります。
そんな折にほぼ必ず立ち寄るお店があって、かん袋という和菓子店があります。
ここは、白玉餅を青大豆の餡でくるんだ、ちょっと変わった「くるみ餅」という名のお菓子のお店なのですが、そこの「氷くるみ」というメニューが名物で、実に美味しいのです。
件のくるみ餅に、かき氷が乗っかったものなのですが、これがシンプルなのにかなりクセになるのです。
青大豆の風味の効いたクセのない餡に氷が絡むと、さっぱりとした味になって、これ、暑い時期に食べるとほんとに美味しいんですよねえ。

当時高校生だった私は、近くにあった学校から自転車で当時付き合っていた女子と抜け出して、ナイショでよく食べに行った思い出の味なんですよね、、なーんて書いてみたいのですが、それはまったくのハッタリで、そんな思い出とはまったく逆の地味な高校生でしたが、部活帰りに友達と食べに行ったり、もっと小さい頃には親に連れられて来たりしていたので、そういう意味では本当に思い出の味です。
20歳を過ぎてから、暫く食べに行くことは減っていたのですが、30歳を過ぎたあたりに、ふと思い出したようにお店に出かけて久しぶりにこれを食べたときに、改めて美味いよなあ、なんて見直してからは、近くに行く時はわりとよく通うようになりました。

お餅もさることながら、この店は順番待ちに、昔ながらの番号札を出してくれます。これ、30年近く前から変わってないんで、ノスタルジー感倍増なんです。

堺は千利休がいた関係で、和菓子の文化もレベル高くて、数は多くないけれど、わりと間違いない感じがします。
個人的には、ここのくるみ餅と本家小嶋のけし餅は2大巨頭と位置付けております。
かん袋へは、阪堺電車で「寺地町」電停下車東へすぐ。
いわゆる堺の環濠都市エリアで、昔の面影を残すお寺なども近くにあります。
ただ、堺の環濠となる川は阪神高速の建設で半分以上が埋め立てられ、環濠都市部の古い建物もそのほとんどが空襲で焼けて無くなったので、そういう意味での風情がほとんどないのが残念ですが、路面電車が通ってたり、ところどころに歴史の長いお店がひっそり軒を構えていたりするので、おもしろい町です。
ついでに書くと、堺は大きな製鉄所があった関係で、製鉄業界の人がたくさん住んでいて、鉄の町でもありました(自分の家庭もそうだったんですけどね)。
なので、大きな工場や社宅があったりして、自分が子どもの頃は、まだその名残りがたくさんあったのですが、いまはその跡に大型ショッピングモールやマンションがどんどんできて、様子ががらりと変わってしまいました。
どんなふうに変わっても、かん袋の味は変わらない嬉しさというのは、京都に住むようになってから、よけいに感じるようになりましたね。
あーなんか歳とったような文章だ(笑)

なんしか美味しいので、機会があればぜひに。

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