大きさ、煌めき、面白さ 〜「スウィングボーイズ」物語3〜



「スウィングボーイズ」。とにかく一番の魅力はボーイズ達のジャズの生演奏なのですが、とにかく常に楽器と共に過ごされていたなぁ、という記憶です。
曲の練習も勿論だし、吹かなくてもとにかく楽器に触れておこうという心からだったのでしょう、きっと。
楽器に触ったことのない方も沢山いらして、初めて稽古場で1曲聴かせていただいた時は、本当に感動しました。

そして改めて見返してみて、ビックリ。
劇中一体何曲あったのかしら?すごい曲数なんですよ。
しかもお芝居しながらの場面もあるし、踊る場面だってあるし、
ミュージカル俳優って凄いな!と、駆け出しの私は皆さんへの敬意が果てしなかったです。と、同時に奮闘するお姿は、時に苦しく、時に楽しそうで、羨ましくもありました。


私は、生の音楽で舞台に立つのは、この時が初めてでしたので、何もかもに感動しておりました。
音楽というものの大きさと、そこに歌、踊り、お芝居が掛け合わさってゆくミュージカルの煌めきと、それを成し遂げるのが人間であるという深い面白さと。

ボーイズ達を支えて下さる、指導も兼ねたミュージシャンの方々が、それぞれの楽器にお一人ずついらっしゃったのですが(本番も一緒に舞台上で演奏、少しお芝居などもされていました)、ドラムは必ずミュージシャンの方が担当されていました。

「sing sing sing」なんかはドラムが主役の曲で、もう本当に格好良くて、演奏稽古の日は、自分は関係ないのにわざわざ聴きに行っていました。

再演のドラマーは、木村直樹さん。
ミュージカル座では、何作か作曲もしてくださっています。名曲揃いです。

物静かな木村さんから奏でられる、正しくて強くて鮮明なリズムは、曲を、演奏者を支え、誘い、音楽を押し上げていたのだなぁ、と思います。

サックスは清水直人さん。
清水さんの音は、なんとしなやかで甘い音色か。香り立つように届いてくるその音は、知らずに演奏を聴きにいっても、
あ、これは清水さんだ!
と、すぐにわかるのです。


木村さんが空へ旅立たれてからもう13年。
清水さんの旅立ちからは、もう少しで2年経つのでしょうか。


お二人共、お人柄は全く違いますが、共にお優しく、ぴよぴよの私に沢山かまってくださり、色んなお話をさせていただきました。
音楽のことも、沢山教えていただきました。

いや、お二人と出会ったからこその、今の私と音楽があるのかもしれません。

木村さん。
清水さん。

私はまだ歌っています!



長くなりました。
また、次回。今度は俳優さんのお話を。

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