#16 漢字のヒロイン

新出漢字の宿題がある。漢字ドリルの新出漢字などを繰り返し書く漢字ノートもある。小3になって、りこは同じ漢字を繰り返し書くことに疑問を感じた。初めは、偏と旁を分けて書いた。例えば練習の『練』の漢字は、偏(へん)の糸‐糸‐糸‐糸‐糸と書き、その後、旁(つくり)の東‐東‐東‐東‐東と機械的に書いていた。その後、漢字練習帳を一マスあけて書くようになった。

りこの友達にも、繰り返し漢字を書くことに疑問を持つ友達もいた。業間や昼休みに宿題の話も出た。いろいろな、やり方やうらわざも話をした。

漢字の宿題をやっている時「こんなにマスめが空いていたら先生に注意されるで∼。」と私が言った。「ええねん。この前も同じ事やったけど、先生におこられへんかったで∼。・・・これ~、友達から教えてもらったうらわざやねん。その子も、はじめはおこられると思ってびくびくしていたけど、今はなれたらしいで~~~。」と、りこが言った。

はじめて、りこがうらわざをやった時の話をした。「帰りの会の時、びくびくしながら漢字練習帳が返ってくるの待ってたわ。けど、先生からなにもいわれへんだで~~。帰りの会の後、廊下でそのことを友達に言うてん。そしたら『やったやん』というてたわ。」りこにとって、その子は『漢字のヒロイン』なのだ。子どもなりに、知恵を出し合い省力化を図っているのだ。

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