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KOKOコラム:01【話す・放す・語る】

こんにちは。カウンセリングルームKOKOです。
どんどん空が高くなり、すっかり秋めいてきました。

話すことにはエネルギーが必要

今日は、【話すこと】について。
カウンセリングでは、どなたにも「話したいことは何でも話してOK、話したくないことは無理に話さなくてもOK、秘密を守ります」と3つの約束をお伝えしています(あくまでも私の場合です)。
それでも話したいことがスラスラ出てくることは少なく「ええっと」とか「うーん」と口ごもってしまう人が多いように思います。

【話す】という行為は能動的な営み。大きなエネルギーを要すものだとつくづく実感します。
日常会話と違い、自分の内面により深く向き合う必要がありますし、さまざまな記憶や感情と向き合う時、痛み(心理的な負担)が伴う場合もあります。
ちょうどいい言葉が見つからない、不調の理由が自分では思い当たらないといった場合も。
言葉での表現が苦手な人やお子さんとのカウンセリングでは、遊びや描画を通して心理状態を理解したり、気持ちの発散をお手伝いすることも多くあります。

話すことには安心が必要

嫌だったこと、悲しかったこと、恥ずかしかったこと。
言葉にするまでに、人それぞれにぴったりの時間が必要です。
強い感情を伴うエピソードほど、長い間抱え込んでいる人の方が多いのではないかと思います。
否定されるんじゃないか?言わなければよかったと後悔するんじゃないか?はっきりと意識していないまでも、そんな不安がつきまとっているのかもしれません。
何よりも、そこが安全な場所・安全な関係でなければ、安心して胸のうちを話すことはできません。
カウンセリングでは、まず信頼できる関係を作っていきます。「ここなら話しても大丈夫だ」と感じていただけた時に、抱えてきた胸のうちを打ち明けてくださるのだと思っています。

話すことと放すこと

不安なこと、モヤモヤしたことを誰かに聴いてもらった途端に心が軽くなった経験はありませんか。
話すことで人の心にはどんなことが起きているのでしょうか。
【話す】はどこかで【放す】に繋がっているのではないかと感じます。

【放す】とは、辞書には、
「1 捕らえられたりつながれたりしている動物などを自由にしてやる。」「2 握ったりつかんだりしていたのをやめる。」
「3 手元から遠くにやる。手放す。」とあります。
自由にする、つかんでいるのをやめる、手放すことで、身も心も軽くなる様子が浮かびます。
そのほかに、
「4 矢や弾丸を発射する。はなつ。」
「5 料理で、水や汁などに入れて散らす。」といった意味も出てきます。
これらもどこか動的な印象。飛び出す感じ、ほどける感じ。
はなすことは、もしかしたら、心を自由にすること。ぎゅっとつかんできた思いを手放すこと。なのかもしれません。
抱えてきた思いによっては、すぐにはそうならないかもしれませんが、少なくとも手放すための一歩を踏み出しているのだと思います。

語ることは共同作業

出来事や心情が話されることで、過去に意味が見いだされ、その人だけのストーリーが生まれます。これが【語り】です。
語りに欠かせないことは【聴く人】の存在。【語る人】と【聴く人】の関係性があって初めて、その場に特有の意味が生まれるのだと思います。
話すことは、放すこと・語ることに繋がっています。
そして語ることは聴く人との共同作業。

ただし、くれぐれも無理はしないでください。
大切な胸のうちを【話さない/放さない】【語らない】ことだって、心を守るために「今は」必要だという場合もあるのですから。

あなたが「大丈夫だ」と思えた時に、【話す】エネルギーを蓄え、安心できる関係を土台にして、気持ちを言葉にしていつか【放す】【語る】ことができますように。
そばで耳を傾ける人がいる。そのことが、あなたの一歩を支えますように。

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