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自己主張のない美しさ

美しい人というと見た目の綺麗な人を一般的には指すけれど、私の中の美しい人は品のある人、たおやかな芯のある人だ。

ただそこにいて見ているだけで、はっとさせられる、物言わぬ影響力。

私の出会った、心に残る人と言葉。
少しでもその折に触れられることができれば

身だしなみと所作

私の友人に芯のある女性がいます。
周囲の物事に一切影響することなく、自分の信念がある。
その心根は言葉端や行動からも感じられ、守りたいものには自分を犠牲にしてまで守り、間違っていると思うものには頑として譲らない。
純粋で素直な人や自然をこよなく愛するその人が言った言葉。

「身だしなみを綺麗にして、所作に気を付ければ、どんな華美な装飾や化粧よりも美しいよ。」

背筋がまっすぐ、凛とした彼女が眩しくて、かっこよくて。
その言葉をもらってからは所作に気を付けるようになりました。

感受性の豊かさは人生の豊かさ

白昼、庭先で自然を眺めて過ごす女性。
とてもおっとりとしていて、物静か。
穏やかに笑うだけの挨拶をする彼女は、うわさ話やニュースが苦手。
誰かの批評を口にしたところを見たこともなく、他人事には関心が向かない彼女は鳥や虫の鳴き声、風や葉の音に耳を澄ませ、口を綻ばせる。
同じ景色を見ているはずなのに、違う世界を見ているように感じる。

心の世界はさぞ、うつくしいのだろう。

刺激的なものに溢れる時代だけれど、彼女にしか触れない世界が私には魅力的に映る。

ーーーーー同じ景色が見られたならば。

5分で人を魅了する少女

お客としていらした20歳ぐらいの少女。
み空色の膝丈のワンピースに、両手で日傘を持つ。セミフォーマルな服も相まって、どこのお嬢さんだろうと感じた。
腰掛には浅く座り、バックから手荷物を出す時すら所作が美しい。

私は彼女に釘付けだった。
たった5分。だけれど未だに彼女のことが印象に残っている。

近くには大学があり、職場周辺は学生都市だ。
あの子も大学生だろうか。
育ちはここまで現れるのか。

名も知らない彼女にまた会いたいと今でも思う。

重ねられた美しさ

90歳のお客様。
背筋はピンとして、白を基調とした上品な服装と白いレースの手袋が上品。ひと昔前のフランス女性がかぶっていそうな帽子にブローチと、小物までが洗練されている。
とてもおしゃべりだけれど、上品さは崩れない。

毎年、年賀状を自筆で書いてくれるのだが、字がきれいで、文字から色を感じるほど言葉選びが豊か。

どうやったら、この言葉選びができるのだろうか。
感性によって積み重ね、生まれた言葉が感慨を覚える。


派手な美しさより、自己主張のないうつくしさは忘れられない。


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