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冷静と情熱のあいだを読み返す週末📚学生時代の恋愛をどう消化するのか。

日本に帰ってきてからあまり読書をしていなかったのですが、久しぶりに村上春樹の新作「街とその不確かな壁」を読んでから読書を再開しました。実家に帰る度に好きな本を少しずつ一人暮らしの部屋に持ち帰っているのですが、先日持って帰ってきたのが江國香織と辻仁成の「冷静と情熱のあいだ」。

初めて読んだ頃は大学生で、主人公の順正やあおいの大学時代と同い年かちょっと下くらいだったのですが、今はちょうど二人が再開する前と同い年。同じ本を繰り返し読むことで、昔と今の自分の変化、昔読んだ時の気持ちを思い返せることが好きです。

作品の鍵である30の誕生日にフィレンツェのドゥオーモで、という約束が、大学生の時はとても遠く大人に感じたのに、気づけば私もあと半年で30になる今読み返すと、前よりも心に響く部分が変わったように感じます。また、昔読んだ時は辻仁成の順正パートから読んだからか順正の視点に、そして今回は反対のパートから読んだからかあおいの視点から物語を読みかえしました。

今回特に自分とも重ね合わせながら考えさせられたのが、10代から20代にかけての恋愛を、30歳を目前にする男女がどのように向き合い、経験として消化するのか/できるのか、という部分。最近昔を振り返り、自分の中でなかなか整理できていなかった思い出たちを整理できたこともあって、今またこの30を前にしたタイミングでこの小説を読み返せてよかったなあと思いました。

そういえば、スペインのロックダウン中にほぼ毎日辻仁成さんのブログを読んでいました。スペインに留学中の社会人留学生と、フランスでお子さんを育てながら暮らす父親、と状況は全く違えど、海外生活の孤独、苦しさ、面白さ、喜びに共感できること、励まされることが多くありました。

思い返すとデンマークの留学中だったり、スペインの留学中だったり、キューバの駐在中だったり、海外にいると孤独を感じる機会や自分と向き合う時間が長くあったように思うのですが、その時いつも小説やブログなど言葉の力に支えられてきた気がします。海外にいる時にはつけていた日記も日本に帰ってきてからすっかり忘れていて、自分の気持ちを文章にすることもなかなか減っているのですが、その時に感じた気持ちを覚えておくためにもnoteに色々と残しておきたいと思います。

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