心の自由

かもめのジョナサン / リチャードバック

一羽のかもめが主人公。かもめ。
人が主人公でない本を読んだことってあっただろうか…。意外とない気がする。
どんな物語が展開されるのだろうと思っていたけれど、物語というより哲学書みたいに感じた。

愛が、友情が、恋が、事件が、死が、生が…という展開があるわけではない。
一羽のカモメ(ジョナサン)が、生きることはただ食べる、寝るだけではない。” 飛ぶ ” ことに学び発見していくこと…もっと生きることに高い目的を持つことが自分たちにはできる。自分の限界を決めているのは自分の心である。何にも縛らず、自由にすることで何にでもなれる。
そう、説いていると感じた。こうはできない、あれはできない、そういう風にできないことを決めるのは全て自分の「心」である。

自由であれ。お前は何にでもなれる。
そう、彼のお父さんは言いたかったのだろうか。

ジョナサンは、カモメ。
でも彼の心はとても自由。だからこそ、高速に飛ぶこともできれば、空間の移動も時間の移動も私たちが考えている ” 既成の事実 ” を越えたことができるカモメになった。
頭で知っていること、それが揺るがない事実として目の前にあることを”そうではない”と否定し、”できる” と思うことはとても力がいる。
何か一つ超えなければならないものがあると思う。

約2年前、「オクターブ / 田口ランディ」
https://note.mu/kokotowan/n/na9f511fb635c
でも同じようなことを感じている。
私はあの時に比べて少しは自由な心を得ることができるようになったのだろうか。何か一つ超えたとは思えない。自分に対して”こうであるべきだ” という心の規制線は変わっていない。でも、周り、人に対しての既成線は緩くすることができるようになった。
自分と違う、自分だったらしないことであっても相手が ”なぜ” そういう行為をするのか。そういったバックグラウンドを知ることで理解を受け入れ、自分の中に吸収できるようになったように思う。
相手への心の自由さは、そのうち、自分の心への自由さを生み出すだろう。
自分で自分に ” もっと自由にしなよ ” と言える、受け入れられるときが来る気がしている。

そうなった時自分は、何に対して ” できる、自分は自由だ ” と思うのだろうか。

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