土曜日の虹


梅雨を経て
伸びに伸びきった芝生
さすがにそろそろ刈らなければと
精を出した
真夏手前の土曜日

芝刈り機を
買うほどでもないスペースに身を屈め
剪定バサミで
チョキチョキ、こつこつと芝を整えていく

とことん綺麗にしても
すぐにボウボウと元通りになる季節
あまり神経質になりすぎず
大まかに芝の高さを揃えていく




休憩を挟まず
一時間くらいかかって
まあまあの見栄えが完成
汗や風とともに
散髪に行った後のような爽快感が流れる

剪定バサミを片づけ
ほうきで刈った芝を集め
可燃二十リットルのゴミ袋一丁上がり!
景気づけに水を撒いていく

ホースから
穏やかに放たれた放物線
その先に
うっすらと虹が架かってゆく

こんなことで
これだけのことで
土曜日は
まだまだ長いと想える



        ( 第48回 岐阜市文芸祭 一般の部 現代詩 佳作 )

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【 初出 】

詩のブログ
『 橙に包まれた浅い青 』

2020年06月22日
「 土曜日の虹 」


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