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【ライターの裏側】「ライターは専門分野を極めろ」が当てはまらなかったライター10年目のわたし。

年明けで、ライター10年目。
私がライターになり始めた頃、ライターとして経験や実績を積むためにはどうすればいいかという情報を探したら、

・専門分野を極める
専門分野に特化した方が仕事をもらいやすいため

という情報がたくさんでてきた。
「なんでもかけます」
より
「私はこの分野に強いです」
のほうが目に留めてもらいやすい、使ってもらいやすいのだと。
「マルチプレーヤーは仕事が来ない」とまで書かれていたノウハウサイトもあった。
たまたま知り合った、先輩のWEBライターさん(その後私に取材依頼をするも2000円の取材費支払いをケチってドロン)に相談したときも、「専門分野を極めないとダメですよ。ライターとして何ができるかアピールしなきゃ」と言われた。
確かにそうだな、と思って、自分が書きやすい恋愛や結婚、美容に関するジャンルに絞って、大手出版社の女性向け情報サイトやファッション誌のWEBサイトに執筆していた。このジャンルに関するコラムなら、正直、映画を見ながらでも歌をうたいながらでも、誰かと延々チャットしながらでも書けるくらい慣れたジャンルだ。思考がどこかへいっていても、指先が勝手にどんどん文字を打ってくれる。

専門分野での依頼はほぼなかった

数年は、美容・恋愛・夫婦問題に強いライターということを強みに仕事をしていたが、実際「そのジャンルに強い方に是非執筆をいただきたく……」みたいな仕事の舞い込み方はほぼなかった。
一時期は“夫婦力向上アドバイザー”として夫婦問題専門にコラムを書き、心理カウンセラーの資格や夫婦問題の専門的な知識を身に付けたりしてそれをアピールしてもみたが、箸にも棒にもかからないとはこのことかというほどその肩書きや専門ジャンルを目指したオファーが来ることはなかった。私が勝手に専門分野や肩書きをアピールしてただけで、私のアピールに目が止まってオファーをいただいたことはほとんどなかったように思う。

今現在、数ヶ月先までお仕事を待ってもらったり、興味のない仕事や費用対効果が合わない仕事はお断りしたりもできるくらいになったが、WEBコラムでも企業さんのお仕事でも、依頼されるジャンルは、土木・医療・物流・アパレル・教育・行政・出版関係と多岐にわたる。
駆け出しの頃にライターとしての実績を積むための情報を探したときにたくさん出てきた

専門分野を極めろ

とはなんだったのか、と思うくらいに私は今マルチプレーヤーである。
クライアントさんも、私が書いたことのないジャンルでも平気でバンバン投げてくる。そこまで専門性の高い分野、専門性の高い内容を書くわけではないからかもしれないし、専門分野を極めたマジモンのライターさんからすると私のような立場は腹立たしいかもしれないけれど、こちらもプロなので事前にきちんとヒアリングをし、資料を提供してもらい、十分なリサーチを行った上で執筆をしているので、一定のラインで満足していただいているのだと思う。


極めるのは、「書けるジャンル」か「ライターとしての自分」か

「専門分野を極めろ」「ライターが極めるべき専門分野◯つ」「収入を倍にする専門分野の見つけ方」みたいな情報が溢れているが、10年間のある時点で、私は当てはまっていないな、と感じた。
それは、私はライターとして”書く能力”以外のことがとても抜きん出ていたからではないか。

たとえば、私は仕事仲間のあいだでは「丸投げできるライター」と言われている。言葉通り、“ディレクターがあれこれ綿密にセッティングしなくても、ディレクターがノープランで取材当日に現場に現れても、絶対なんとかしてくれるのがコマツ”だそうだ。
それに対して私も異論はない。絶対なんとかする。
インタビューの原稿をまとめてほしいと言われて、インタビュー対象者に書いてもらったアンケートに、名前と仕事内容と、「頑張ります」「やりがいがあります」「スキルアップしていきたいです」しか書かれていなくても、1000文字くらいのインタビュー原稿に本人らしさを加えてきちんと仕上げる自信がある。
なんだかわからない仕事内容のお客様でも、ちょっとクセの強い人相手でも、コマツを呼べばそこそこなんとかしてくれると思ってもらっているみたい。うん、なんとかするよ。

10年ほど前の私は、「専門分野を極めろ」というどこの誰が言ったかわからない情報を信じて専門分野を極めようとあれこれ模索し時々自信をなくしたりもしたが、私が10年間やってこれたのはむしろ

専門分野を極めなかったこと

が功を奏したといえる。専門分野に特化していないから、仕事を依頼してくれる。
ちょっと頼りないディレクターでもコマツがいればなんとかなるということで、ジャンルを問わず”コマツ”を呼んでもらえるようになった。内容が全然固まってない案件でも、コマツを呼べば形にしてくれるだろうということで依頼してもらえるようになった。
私は上手な書き方や深い知見よりも、「コマツマヨ」というライターを極めまくった結果、今があるのだ。

他人の情報を鵜呑みにし専門分野を極めないといけないと模索しまくった時期もあったからずいぶん遠回りしたけれど、10年前に「専門分野にこだわりすぎなくてもいいんだ」という情報を仕入れていたら、一時の苦労は必要なかったのかもしれない。まぁ、全ては今自分の糧になっているんだけどね。

これからライターとして実績を積んでいきたい人のなかに、自分の専門分野について悩んでいる人がいたら、ぜひ考え方をシフトしてみてはいかがだろか。
もちろん、私のようなタイプの人もいれば真逆の人もいるかみんなに当てはまるとは思っていないけれど、10年前私は真逆の方向が正しい、そうすべきだと信じ込んで苦しんでいたので、そうじゃない道もあるよ、という頭を切り替えるきっかけになれば嬉しい。
なんの経験も実績もないままでライターである自分を極めていくのは難しいけれど、いろんなジャンルに手を出すことはけして間違いではないし(私は間違いだと思ってた)、「専門分野を探さないと」と思い込まず(私は思い込んでた)、もっと広い範囲でライターの仕事を考えていってもいいかもしれない。

「得意分野」に強いライターではなく、「自分の得意なこと」ができるライターとしての方向もありかもしれないよ。

ちなみに、稼げるライターになるノウハウを知らべたときに、
・メールの返事はすぐ返す
・期日の数日前に納品する
・資格を取得する
なんかも必須条件に上がってた。
私はメールは遅い、返事に何日もかかる。期日ギリギリに納品か、なんなら少し延ばしてくださいということも少なくない。資格は取得したが、誰も見てないし資格があるから依頼が来たこともないし、資格の知見を生かしてくれと言われたこともない。ゼロ。

とことん、当てはまってないですね、私。

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