2年の前期、毎週水曜の2限にある経済学の授業で初めて見かけた。

淡々と話す教授とスマホか睡魔と戦っている学生の中で、1人黙々とノートを取っていた彼に一目惚れのようなものをした。

シンプルな白いTシャツとジーンズがよく似合う人だった。

彼を見かけてから、毎週の経済学で探していたけれど全然見当たらなくて。次に見かけたのは数ヶ月後の別の授業だった。

私の学部はほとんどが必修の授業なので時間割を好きなように作ることはできない。みんな大体同じような時間割になるから、たまにしか見かけない彼は単位を落としてしまった一つ上の先輩だと思ってた。

3回目に見かけた時に「絶対にこのチャンスを逃したくない！」と思って、授業が終わったら話しかけに行こうと決めたのに、彼はすぐに教室を出て行ってしまって、
また見かけなくなってしまった。

彼に一目惚れしたことなんて忘れかけていた今、なんと実技の授業で彼と一緒になった。

運命だと思った。

彼は同じ3年生だった。

彼は思ってた以上に優しく笑う人で、穏やかな話し方だった。いつも1人で表情が無いから、話しにくい人だと思っていたけれど私が話しかけると笑って返してくれてもっと話したい！と思った。

授業終わりに「インスタ交換したいです！」と声かけた私、よく頑張ったと思う。今までの自分じゃ考えられないけれど、今日を逃したらもう2度とチャンスは無い気がして。

彼からすぐにフォローリクエストが送られてきて承認して、私もフォローリクエストを送ったら5日経った今でも承認されない。私の印象よくなかったのかな。友人達は忘れているだけだよ、と言うけれど流石に忘れすぎではないか。男の人はそういうものなのか。

なかなか承認されない中、次の日もその次の日も彼を見かけた。なんなら、何度かすれ違った。こんなにも見かけたことは初めてな気がする。いや、自分が探せなかっただけで今までも本当は近くで一緒に授業を受けていたのかもしれない。承認しろ、承認しろと少し離れた席から念を送ってみたけれど、効果はないままだ。

彼の目が好き。
淡々と強弱のない話し方をする教授をまっすぐに見つめていた目が。そして、少し孤独を纏っている彼が気になってしょうがない。彼がどんな人で、何を見て、どんなことを思って毎日を過ごしているのかを知りたい。好き、と言うには彼のことを知らなさすぎるから、仲良くなりたいのにそこまでもできないのがもどかしい。Vaundyの瞳惚れを聴きながら、恋人がいそうなプロフィール画像と投稿数を見て、今日もこの一目惚れには先は無さそうな気がして少し、ほんのちょっとだけ落ち込んでいる。