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コミネキ欧州歳時記

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ドイツを中心に時節行事など、あれこれ…
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今日からアドベント (Advent)

あんなに暖かった日々が嘘のように冷え込んできました。 とは言え、本当は冬ってこんな気候なのですよね。 年末、クリスマスに向かって、街中、ショッピングモール等々、賑やかになってきました。日本でもクリスマス・マーケットが定着してきたようで、今では屋台でGlühweinも楽しめるようになりました。 キリスト教には様々な移動祭事がありますが、11月末12月初めにはアドベント (Advent)がやってきます。 クリスマスの4週間前の日曜日から始まり、12月24日クリスマス・イブまで

晩秋にいただきたいもの

秋も深まり…と言いたいところですが、なんとも変な気候が続いています。 11月といえば、ヨーロッパはどんどん暗く、寒くなっていく頃。 残念ながら観光には全く不向き… 観光地では屋外施設の入場時間が短くなったり、冬季休館になったりするところも多く、折角行っても、入れないなんてこともあります。 12月になればクリスマスマーケットも始まりますが、11月の暗くて寒い夕方に外で過ごすのはおすすめできません。 さて、そんな時期ではありますが、この頃には聖マルティンのガチョウ料理(Mar

深まる秋 教会のコンサートに行ってみませんか?

ヨーロッパでは宗教行事に合わせて教会音楽のコンサートが催されます。 クリスマス、復活祭はその代表格ですが、晩秋はレクイエムの季節です。 レクイエム(Requiem)はラテン語で「安息を」という意味で、死者のためのミサ曲として11/2の万霊節(Allerseelen)や贖罪の日(Buß-und Bettag:移動祝祭日/11/23直前の水曜日)頃に多く演奏されています。とはいえ、会場の関係もあるのでしょう、10月に入るとコンサートが始まっていきます。 モーツァルト、ヴェルデ

初秋にいただきたいもの

まだまだ暑い日が続いていますが、秋になるとヨーロッパにもこの季節ならではの味わいがやってきます。 初秋になると、ヌーヴォーやホイリゲといった新酒が出回る前に、フェーダーヴァイサー(Federweisser)が楽しめます。 ワインになる前の発酵過程の飲み物で、ジュースのように甘くてちょっとシュワシュワ(微発泡)した感じ…とても飲みやすいのですが、しっかりとアルコールが入っています。 瓶に詰められていても、発酵が続いているので蓋はしっかりしまっていません。うっかり横にするとこぼ

高き夏空 天に召すのは聖母さま

ヨーロッパで8月の宗教祝祭日といえば、, 聖母マリアの被昇天祭。 聖母マリアがその人生を終えた時、肉体と霊魂を伴って天国に上げられたという信仰で、8月15日がその記念日とされています。 キリストもマリアも地上での生涯を終えた後、天に昇っていったのですが、キリストが自らの力で昇天したのに対し、聖母マリアは聖霊の力で天に上げられたので被昇天と呼ばれているそうです。  8月15日は主にカトリックの圏で祝祭日とされいて、ドイツではマリア昇天祭(Mariä Himmelfahrt)と

欧州は祝祭日の季節 復活祭に続くのは…

ヨーロッパの祝祭日はキリスト教に因んだものが多いのですが、ほぼ4月から6月の間、それも復活祭を基準とした移動祝祭日なので、月曜日と木曜日がお休みになります。 今年の復活祭(Ostersonntag)は4/9(日)。 十字架にかけられ処刑された三日後に、予言通りイエスは復活します。 その後40日間を弟子たちと共に過ごし、「近いうちに聖霊が降る」ことを告げて天に昇ります。それがキリスト昇天祭(Christi Himmelfahrt)で、今年は5/18(木)です。キリストが天にい

なんとかの何曜日 は 復活祭にもあるのです

厳しい冬が終わりを告げ、新緑が芽生える春はヨーロッパにとってまさに復活の季節。 2023年の復活祭は4/9の日曜日ですが、多くのヨーロッパ諸国では、復活祭の日曜日、いわゆるイースター・サンデーの前の金曜(4/7)から翌日の月曜(4/10)までが祝祭日になっています。 春の訪れ、明るい陽射しから東が連想できるので、イースターという名前も自然と納得していましたが、この名前は、ゲルマン神話の春の女神Eostreにちなんで名付けられたと言われています。春の女神は太陽と共に現れるので

2月といえばカーニバル! なんとかの何曜日はいつまであるの?

カーニバルと言えば日本では季節を問わず楽しい愉快な催しの名称に使われていますが、キリスト教圏では復活祭から40日前に行われる謝肉祭のこと。 40日という日数はイエスが荒れ野で断食をした期間に由来するそうですが、日曜日は日数に含まれないので、灰の水曜日から復活祭の聖土曜日までの四旬節と呼ばれる期間は実質46日となります。 というわけで、断食期間が始まる前に、お肉や美味しいものを食べ尽くすお祭りが今年 (2023) は今日 (2/16・木) からスタートします。 ドイツ語圏で

1月6日は公現祭 バッハのクリスマス・オラトリオ、最後まで聴いたことありますか?

1月6日は公現祭と言って、誕生したキリストを東方の三博士が来訪した記念日です。 最近は、公現祭をお祝いして食べるフランスのお菓子、ガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)が日本でも売られるようになってきました。 王様のお菓子という意味のこのお菓子には、フェーブという小さい陶器の人形が一つ入っていて、切り分けられたガレットからフェーブが出てきた人は、一年幸運に恵まれると言われ、その一日、王様になることができます。 公現祭はヨーロッパのカトリックの国では祝日となっ

冬至 と クリスマス と もみの木

間もなくクリスマス。 イエス・キリストの生誕を祝う宗教祭日ですが、実は、キリストの誕生日は不明です。キリストの誕生日は聖書にも記載がなく、本当は誰にも分かりません。 では、なぜ12月25日になったのでしょうか? 古代ローマの太陽神を崇めるミトラ教の祝祭日や、北欧に住んでいたゲルマンやケルトの人々のユールと呼ばれる冬至のお祭りといった土着の風習を、キリスト教が布教活動において利用したと言われています。 クリスマスツリーも、樹木を信仰していたゲルマン民族の風習が取り込まれた