ノートたち

古い段ボール箱を開けていたら
何冊ものノートが出てきた
どれも一文字も書かれていない
薄い罫線だけがおとなしく並んでいる
 
授業の記録をとる以外には
書くべきことを持たなかったのだ
その頃の私は
何もできないと固く信じていた
 
君はどんなふうに
生きても
死んでも
いいんだよ
 
今ならそう言ってやれる
昔の私と似ているが
明らかにもう違う筆跡で
詩を書くことができる
 
禁を破るために
まずは
左手で鏡文字を
書いてみようか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?