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江戸時代の妊娠の心得!!古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた

天保14年(1843)発刊の『女中嗜日用宝』は、女性の日常生活で必要なこと、知っておくとためになる知識などを網羅した、女性のための事典のようなものです。タイトルに”女中”とありますが、決して女中向けというわけではなく、広く一般の女性に対して編集されたもののようです。

今回はこの中から、ズバリ「妊娠の心得」についてお送りしたいと思います。1ページで収まる非常に短いものですが、江戸時代では妊娠についてどのような認識でいたのか、覗いてみましょう。

妊娠の心得

妊娠の心得

【原文】
およそ婦人は月水滞まり、食進まず胸
わるく酢き物を好むは、大方懐胎せし之と
知るべし。然れども病にて経水三月も四月
も滞り、妊娠か病か分かりがたき事あり。
その時は三月めほどに夜中仰向に寝て
臍の下をしづかに撫でて見るべし。左か右に
桃の大きさほどのぐりぐりとしたる物有れは
妊娠なり。何もなきは病なり。もし懐胎に
きはまらば身養生を第一にし、男女の
交合をつつしみ、食物に気をつけ、火事
死人穢れたる物を決して見るべからず。

【現代語訳】
一般に、女性は生理が止まり、食が進まず、
胸がムカムカし、酸っぱい物を好むようになると
たいていは妊娠したという兆候である。
けれども、病気で生理が三か月も四か月も
来なくなり、妊娠か病気かわからないことも
ある。その時は、三か月目くらいの時に、
夜仰向けに寝て、へその下をそっと撫でてみる。
左か右に桃の大きさほどのグリグリとしたものが
あれば、妊娠である。しかし、何もなければ
病気だろう。もし妊娠で間違いなければ、
養生することを第一とし、男女の性交を慎み、
食べ物に気をつけ、火事や死者など穢れたものを
決して見てはいけない。


【たまむしのあとがき】

原文がとてもわかりやすいので、現代語訳は不要なくらいなのですが、タイトルに「訳してみました」とつけているので、いつも通りの仕事をさせていただきました。

江戸時代の妊娠の心得とはどんなもの?と思った割には、控え目な表現でもなく、かといってきわどいものでもなく、そのまんま普通ですねーという印象だったのですが、いかがでしたでしょうか?

またいつか、別の古文書で妊娠の記述を見つけたときには、改めて取り上げたいと思います。

今回の『女中嗜日用宝』は、ほかにも面白い題材がいくつかあるので、近日中にまたここからチョイスしたものをお送りする予定です。

女性向けの古文書ではありますが、男性も面白く読めると思います。

乞うご期待ください!

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