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江戸時代の季節のお惣菜4・5・6月編。古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた

前回の1・2・3月編では、冬の食べ物の代表、根菜類や魚介類が多く見受けられました。今回は春の食べ物ですから、あれかな?と思い当たるものがあるかもしれません。きっとあると思いますよ!

四季惣菜456-1

四五六月の部

●竹の子生節の煮だし

  ※生節=かつお節をつくる際、
   1回だけあぶって乾かした加工食品

●竹の子千切り・イカ・木の芽の味噌和え

●竹の子・きざみ昆布・揚げ豆腐の平皿

●わかめ・長干大根の二杯酢

  ※ハリハリという

●わかめのからし味噌汁

●はじきそら豆の煮しめ

●新そら豆をさやごと茹でてゴマ味噌和え

四季惣菜456-2

●きゅうり小口切り・ハモの皮の二杯酢
 または揚げ豆腐焼きを刻んで入れてもよし

●白瓜半月切りの葛炊き 揚げを入れてもよし

●白瓜を刻みハモの皮のなます または揚げを
 ひと刻みしてシソの葉を入れてもよし

●白瓜かつら向き・しいたけ・揚げ豆腐の平皿

●カボチャ蒸して葛あんかけ

●カボチャ・若ゴボウの煮しめ

●ナスはいろいろ使い方が多い
 まず小さいのは二つ切りにし、
 油で煎り出しおろし大根を醤油で

●ナス二つ切りを細かく切れ目を入れ
 味噌汁すりゴマで

●大きくなったナスは葛煮 
 または大きくさいの目切りにし味噌汁
 あるいはゴマ醤油お浸し 
 または酢味噌和え

 または二つ切りにし細かく切れ目を
 入れて蒸し、ゴマ味噌をかけるのもよし
 そのほか田楽

 または丸いまま釜の下へ入れて
 よく焼けたときに水に入れて皮を取り、
 ゴマ醤油をかけるもよし 

四季惣菜456-3

 なお、あしらいものによっては
 いろいろ使い方が多い

  ※あしらいもの=料理を引き立てるために
   添える野菜や花のこと

●冬瓜さいの目切り・干し鮑の炊き出し

●冬瓜角切りの葛煮 
 またはさいの目切りの摺りゴマ味噌汁
 または角切りのふろふきゴマ味噌

●若ゴボウの軸・敷鰹しきかつおの煮しめ

  ※敷鰹=薄く削った鰹節

●フキを割って焼き豆腐さいの目切りの味噌汁

●フキ・はじき豆・若ゴボウの煮しめ

●若頭芋・揚げ豆腐の葛煮

  ※頭芋=サトイモの親芋

●ネギ・あかえを油で揚げすっぽん炊き

  ※あかえ(権萃ごんずいの異名)=
   ミツバウツギ科の落葉樹で若葉を食べる


上記のほかに、塩魚・川魚・青物を
見合わせて使うこと。



【たまむしのあとがき】

春から初夏の匂いがしますね。

実は今回初めて知ったのですが、「冬瓜」は冬という漢字がついているにもかかわらず、旬は7・8月なのだそうです。

さらに、カボチャは冬の食べ物だと思い込んでいたのですが、旬は9~12月のようです。

いずれにしても、この4・5・6月のお惣菜メニューにはちょっと早い気もしますが、キュウリや白瓜の名も見られますので、広く瓜系のものはこの時期から出回るようです。


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