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働く精神障害者・発達障害者の自助会の考える「働く意義」

【障害者の収入】
精神科ユーザの関心事の上位に経済問題、つまり収入の確保がある。精神科ユーザでは、一般的なサラリーマン生活をしながら服薬している人は少ない。いわゆる定職に就けずに、フリーター生活をしていたり、就労支援の福祉サービス施設に通所している人が多い。なかには重度の引きこもりの人や、就労は眼中になくて障害年金の範囲で暮らしていける生活訓練をしている人もいる。

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【働く障害者】
その中で雇もれびの会では、働いている精神障害者、働きたい障害者にターゲットを絞った活動をしている。ターゲットを絞った理由には、従来の医療と福祉の間で、どちらからもサービスを受けながら、どちらにも満足できていない人がいることに気付いたからという理由がある。

【精神医療の限界】
精神医療は、3分診察がほとんどだ。定期的に診察して薬を処方される診察では、特別な体調の異常がなければ話すことはない。働きたいといった希望や、職場環境を変えたい悩みや、転職したいとった計画は医療では扱わない。

【就労福祉】
就労支援施設では、大きく分けてうつ病患者などのサラリーマンがいったん休職して復職するために利用する復職系、転職を繰り返して自分に合う職場や仕事が見つからない若い発達障害者が、自分の特性を見直したり、仕事を探す手助けをする仕事探し系、そして、初めての就職や初アルバイトに挑戦するような障害者に向けて面接の受け方や履歴書の書き方、職場でのあいさつの仕方などを指導する就職活動系がある。

【働く自助会】
雇もれびの会では、仕事探し系の就労支援を利用している人が多く集まった。復職を目指す人は、職場と繋がっていたり、サラリーマン生活の仲間がいたりして、自助会を必要としていないようだ。初めて就職する人たちはとても若くて、純真なタイプが多い。そのため学生の延長のような就労支援施設での活動にそれほど不満や疑問を感じていないようだった。

【雇もれびの会の位置】
それに対して、発達障害と精神疾患を併発している精神科ユーザーは、年齢的に30代前後で仕事をしなくてはいけないというプレッシャーを感じて焦っているものの、同年代の友人はすでにバリバリ働いている。病院や福祉では、復職(リワーク)や初就労組との間で、どちらにも入り込めない阻害感を感じている。

【福祉のはざま】
従来の医療、福祉はリワークと初就労に対するアプローチは比較的整っているが、発達障害と精神疾患を併発している中年、初老年代に対するサービスが手薄だった。もともと仲間が少なく、医療も福祉も利用できるサービスがないので、自助会に相談に来る方が多かった。

【自助会に来る人たち】
自助会に来る人たちは、仲間が欲しい、情報が欲しい、自分の話しを聞いて欲しい、似たような境遇の人が話しが聞きたいといった目的が多かった。発達障害とひとくくりにしても、一般的な普通の人以外の人を発達障害と呼んでいるような状況なので、非常に幅が広くさまざまなタイプの人が、さまざなな思いを持って自助会へ来る。

【自助会に来る目的】
職場のことを聞きたい、話したいという人もいる。障害年金や障害者手帳についての情報が欲しい人もいる。発達障害の話しが出来る仲間が欲しい、孤独すぎるのでたまには話がしたい人もいる。

【障害者の就労】
就労に関しては、発達障害と精神障害を持っているが、普通のサラリーマン的な働き方に憧れが強い人が多く集まった。雇もれびの会という名前にサラリーマン雇用をイメージさせる字を使っているためという理由もあるだろう。

【自助会には来ない人たち】
それを差し引いても手に職を付けた人の参加者はほとんどいなかった。手に職を付けるという生き方は一部の職人的な職業でしか通用しないが、その職の中では、障害や病気を持っていても、体調が整えば仕事ができているのだと推測している。

【発達障害を持つ人】
発達障害は、特別な才能があってもコミュニケーションなどの一般的な能力が欠けている人を指すことが多い。たしかにその特別な才能が、とびぬけて目立つ人が多い。その才能が仕事に直結出来ている人は自助会にはほとんどいない。好きで才能もあって大学で勉強したのにその内容を仕事に活かせない人がいる。好きで才能があっても大学で学ぶ内容にも職業にも結び付かない人もいる。好きで才能があっても、学業と興味の内容が全くずれていて、学生時代の学業の成績は落ちこぼれだった人もいる。

【職場と障害】
これは10代から20代初めにかけての教育と就職活動に根本的な問題がありそうだ。統合失調症やパニック症も就職前後での発症が多い。うつ病も職場トラブルと関係するケースがある。自分の才能と職場が一致しないストレスは、精神疾患の大きな原因の一つだ。

【大人の発達障害の自助会】
雇もれびの会では、主に30代以上の発達障害の当事者が自助会活動として集まり語ってきた。若いときの学業の仕方、進学先、就職先の選び方に反省することも多い。20代でのスタートダッシュに出遅れると、その後の悪影響を20年以上引きずる人も多い。

【障害者雇用の実態】
30代以降にサラリーマン的生活に就けた人のほとんどは障害者手帳を持っていて、企業の障害者雇用の枠で雇用をされた人たちだ。障害者を一定割合以上雇用する法律に基づくルールで企業が雇用枠を用意している。だが、その仕事場の実態は、他の社員から過度に隔離されて、職務内容、職場環境も、必要以上に特別扱いされている。特別に優遇しているつもりなのだろうが、当事者の向上意欲やプライドは傷ついている。

【障害者雇用に望むこと】
もちろん、体調の上下の波が大きく、感情のコントロールも苦手なタイプの人が多いので、ある程度の配慮や特別な区別は要る。だが精神疾患や発達障害は、一部の能力は低くても、他方では一般の人と同じ能力や感覚がある。一般の人以上の能力もあるので、仕事に活かすことができれば、大きなプラスになる。

【障害者雇用の苦労】
現実には、過度に安全運転が重視されて、能力を生かし切れておらず、給料や待遇も極端に低い。障害者というと大卒の40代でも時給1000円以下でのフルタイム勤務でも、歯を食いしばって働いている。決して簡単な仕事を鼻歌混じりに楽しく仕事している状況ではない。

【障害者のトップ収入】
世の中には、30代40代で一日働いて日給8000円以下の人も多いとは聞く。障害があるないに関わらず、フルタイムで毎日働いて、日給8000円、額面月給16万円では、決して楽な生活ではない。

【就労活動をする障害者】
また、仕事を探している途中の人ももちろん多い。フルタイム月給16万の仕事に憧れつつも、続けられないで離職を繰り返すタイプの人だ。就労訓練、生活訓練をしながら次の就職を目指す人だ。

【働く意味】
自助会活動を通じて、働くことの意味を考えている。金のために働くというよりも、貧乏という病気を克服するために働いている。もう一つは、健康維持のために働いている。

【経済術】
金欠病ともいう貧乏という病は、収入を上げることだけでは解決できない。支出を抑えつつ、生活の質を上げて、生活に満足することが大事になる。40万円50万円の月収があるサラリーマンでも、小遣い制で、ひと月に自由に使える額が決められている人も多い。障害者でも自分が自由に使える額を収入の範囲に設定して、その中で満足できるように賢く暮らす経済術が重要になる。

【健康と仕事】
健康のためというのは、世間体を気にせずにのびのび暮らせるココロの健康と生活のリズムを整えて早寝早起きの生活を送るカラダの健康がある。どちらも、就職していてもしていなくても、自分の中で達成できるものだ。

【社会と仕事】
ただ、仕事をする一番大切な意味は、社会と繋がるということだ。社会の役に立つ活動をすることで地域やコミュニティから認めれるという社会的な意味が最も重要だ。

障害を持って働けないというのは、ある程度仕方がない面もある。だが、障害のせいで社会の厄介なお荷物扱いされるのは、ものすごく不幸なことだ。

【働く意義と自助会】
自分の力を使って稼ぐ、という意味以外に、仕事には大きな意味がある。障害があってサラリーマン的な仕事は出来なくても、あるいは、十分な収入が得られる仕事が出来なくても、障害者でも働きたい人は働くべきだ。自分にできる精一杯をして、社会のために貢献できて、尊敬される一市民になることが障害によって妨げられるのであれば、妨げる社会の側の障害を取り除くように活動していく自助会の意義あると信じている。

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